学歴で収入は決まる?
いくつかの統計データをみると、学歴により収入に差があることが確認できます。ここでは、月給と生涯賃金について、学歴でどの程度の差が生じるのかを紹介します。
・月給
厚生労働省実施の「令和4年 賃金構造基本統計調査」の結果によると、高卒者の平均月給は約27万4000円でした。男性高卒者の平均月給は、それよりも少し高い約29万8000円となっています。一方の大卒者の平均月給は、約36万3000円です。男性大卒者は、大卒者全体の平均よりも高い約39万2000円となっています。
男性の場合は、高卒者と大卒者とで毎月10万円ほど月給の差が生じることになります。年間では120万円ほどです。そのため、決して小さいとはいえない金額差といえるでしょう。
・生涯賃金
労働政策研究・研修機構実施の「ユースフル労働統計 2023」の結果によると、男性高卒者の推計生涯賃金は2億300万円でした。一方の男性大卒者の推計生涯賃金は、約2億4700万円です。これは退職金を含めない金額ですが、4000万円以上の差が生じるとの推計結果でした。
同調査結果では、退職金なども含めると、男性高卒者の生涯賃金は2億6000万円ほどになると推計されています。対して、男性大卒者の退職金などを含めた推計生涯賃金は、約3億2000万円です。その差は6000万円ほどとなりました。
学歴で収入が決まるという表現が適切かは議論の余地があるでしょう。しかし、いくつかの統計データをみると、高卒よりも大卒の方が収入が高い傾向がある点は否定できません。
高卒で働くメリットは大きい?
高卒で働くと、進学資金は考えなくて済むでしょう。労働者福祉中央協議会が2022年に実施した「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」の結果によると、奨学金利用者の平均借入総額は310万円となっています。
しかし、紹介したように学歴による生涯賃金の推計データをみると、310万円を大きく上回る差が生じています。結果的には、大学を卒業してから就職したほうが、経済的メリットが大きいとも考えられます。
高卒者は大卒者と比較して、早めに社会人となれるメリットがあります。ただ、必ずしも大卒者よりも早く昇進できるとは限らないでしょう。高卒者は大卒者と比べて、従事可能な業種や職種の選択肢が狭くなる傾向があります。大幅な昇進が期待できる企業や職種に就職できるかは不透明です。
また、経験年数よりも学歴により業務内容や役職を決定する企業があることも否定はできません。そうした傾向は、学歴による月給や生涯賃金の差からもうかがえます。
子ども本人の意欲次第
高校を卒業したら働くという意思が強い場合、子どもの判断に任せるのも重要でしょう。無理に大学に通わせても将来によい影響を及ぼすとは限らないためです。一度就職し、その後学び直したいと考えた場合には、改めて大学に通うという選択肢もあります。社会に出てからでなければわからないことも少なくありません。学び直しは簡単ではありませんが、それも本人の意欲次第といえます。
収入面は学歴の影響を受けやすい
学歴社会に対して肯定的な人ばかりではないでしょう。しかし、統計データをみる限りは、少なくとも収入面は学歴によって差がみられます。高卒者は大卒者と比較して、月給では10万円ほど、生涯賃金では最終的に6000万円ほどの差が出るといったデータや推計は無視できません。
一方で、子ども本人の意思や選択も無視はできないでしょう。親としては心配でも、最後は本人の意欲や判断に委ねるのも親心といえます。
出典
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 学歴別にみた賃金
労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計 2023 生涯賃金など生涯に関する指標
労働者福祉中央協議会 奨学金や教育費負担に関するアンケート調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー