【インタビュー】張本美和が明かした平野美宇、長﨑美柚、木原美悠の“凄み” 誓ったTリーグ制覇への想い「確実に2連覇を達成する」

ノジマTリーグ 2023-2024シーズン」は、レギュラーシーズンが終わり、22日から24日にかけて、プレーオフが行われる。

今季女子のリーグ戦で16勝4敗の強さを見せて首位通過したのが木下アビエル神奈川。中澤鋭監督に率いられたチームは、豊富なタレント力を武器に、2位以下を引き離してプレーオフファイナルへと勝ち進んだ。

そんなチームで主力を担ったのが張本美和。夏に行われるパリ五輪メンバーにも選出された張本は、Tリーグの舞台でも躍動し、KA神奈川の2年連続首位に貢献した。今回はシーズンを終えたタイミングでインタビューを実施。プレーオフを前にした心境を聞くことができた。

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目次

張本美和(はりもと・みわ)

卓球選手
2008年6月16日生まれ、宮城県仙台市出身。木下グループ所属。右シェーク攻撃型。兄は東京五輪団体銅メダリストの張本智和。2022年の世界ユースU-15では女子シングルス・女子ダブルス、混合ダブルス・女子団体の4冠を獲得。2023年11月の「2023全農CUP大阪大会」で優勝。2024年2月にはパリ五輪団体戦に向けた候補メンバーに選出され、「世界卓球2024 団体戦」では銀メダル獲得に貢献。2018年から在籍するTリーグ・木下アビエル神奈川では2019年の2月に10歳でデビューを飾るなど活躍を続ける。

■「改善していい部分が現れた」

張本は今季のTリーグで、シングルスでは18試合に出場し12勝6敗、ダブルスでは6試合に出場し5勝1敗の成績。シングルスの勝利数は平野美宇と並びチームトップ、リーグ全体でも3位を記録し、ダブルスでも木原美悠とのペアで4勝、ホー・ジュオジアとのペアで1勝を挙げた。

張本は、「自分でもこれくらいできるとは思っていなかった」とシングルスでの結果について明かす。それでも、「毎試合、前の試合より絶対に成長した姿を見せられるようにという意識をもっていた」と語り、「自分を見つめなおし、改善していい部分が試合に現れた。自分の成長があったからこその12勝かなと思います」と、好結果につながったことには手ごたえを感じている様子だ。

また、ダブルスについては、「とても好きで、どんな選手とも即座に組めるのは自分のいいところ」と自らの持ち味だと語る。

なかでも5試合でコンビを組んだ木原は、2022年に世界ユースを制し、昨年のアジア競技大会でも銅メダルに輝いた名パートナー。「自分たちが右右のペアなので、もし相手が左右のペアだったらバック側を狙われることも多い。そこを攻められた時により対処できるように練習や戦術を考えています」とこのペアで挑む際の工夫を明かした。

■チームを支えるタレントたち

今季のKA神奈川を支えたのは、日本代表にも名を連ねるタレントたち。

パリ五輪のシングルスメンバー入りした平野、ダブルスで今年の全日本選手権を制覇した木原、長﨑美柚の2人に張本を加えた4選手は、オーダーに並ぶだけで相手に驚異を与えた。張本は、「背中を見て学べる部分がたくさんあって個性も違う。3人のいいところを自分にとりいれたり、新しい視点になって考えることで自分の成長にもつながっている」と刺激を受けていると明かす。

平野について、「バックハンドも、フォアもうまいんですけど、戦術の部分はとくに見習っている」と言及。「相手を見る力だったり、自分のタイミングをもっているので、相手のリズムが少し崩れると反撃したり、そういう部分がすごいです」と今季から主将も務める23歳について述べている。

また、サウスポーの長﨑については「ラリー中の打点が速い。サーブからの3球目、スピードは予測しなければ返せないくらい」と述べ、木原についても「ロングサーブ、ショートサーブ、同じところで出せるので見分けづらい」と、サービスの上手さを特徴として挙げる。

この4選手は国内外の遠征でともに過ごす時間も多い。コート外でも気軽に会話を交わす関係性を築いており、チームの強さを支える。

ダブルスで10勝を挙げた長﨑美柚(左)と木原美悠 撮影:SPREAD編集部

■異なる試合の進め方

張本は平野、長﨑、木原の3選手と自らでは、試合の運び方に違いがあると言及。それが顕著に現れるのがカットマンを相手にした対応で、急ぎすぎずに相手を窺いながら、時にはミスを待つという柔軟な戦い方も引き出しとして備える。激闘を繰り広げた1月6日の橋本帆乃香(日本ペイントマレッツ)戦では、第3ゲーム時点でリードを許す展開も粘り強いラリーで対抗し、結果的には逆転勝利に持ち込んだ。

張本は「あの先輩方は1球のプレーの長さが長くないですし、短時間で終わらせて軽々と試合をしている。私は一発で抜くことがあまりできない」と自らのスタイルとの違いを分析。「相手のミスを待つのもありと思いながら試合をしていて、最悪促進ルール(試合時間が長引くことを防ぐため、長時間のラリーを禁止する)になってもまた戦える」と、相手の出方を見ながら戦うこともあるとする。

今季のKA神奈川はシングルスでは張本、平野が中心を担い、長﨑も8勝を挙げて奮闘した。またダブルスでは長﨑、木原が10勝ずつを挙げてリーグ2位、張本の5勝も全体では10位に入った。ほかにも、昨年補強したチャン・ルイは昨年12月の「WTT女子ファイナルズ」にも出場した実力者で、今年の全日本選手権ジュニアの部で張本と優勝を争った面手凛も今季のTリーグでは勝利を挙げた。4人のタレントを中心に、質、量ともに申し分ない陣容を揃えている。

木下アビエル神奈川の主将、平野美宇 撮影:SPREAD編集部

■各チームのキーマン

Tリーグは22日からは男子、23日からは女子のプレーオフセミファイナルが開催される。KA神奈川は日本生命レッドエルフと日本ペイントマレッツの勝者と24日に対戦。2連覇をかけて戦うことになる。

張本は日本生命について、「早田(ひな)選手は強いですし、中国選手も簡単には勝てない相手ばかり。戦うとなると難しい試合になると思います」と印象を語り、ニッペMについては「横井(咲桜)選手と大藤(沙月)選手は思い切りがいい選手で、調子がよければ平野選手とか早田選手に勝つこともある」と、進境著しい2人のキーマンの名前を挙げて警戒心を強める。

それでも張本がプレーオフで目指すのは戴冠のみ。「1番の目標は確実に2連覇を達成することですし、一人ひとりが自分の最善、最高のプレーをすれば自然と結果はついてくる」と力強く語った。心強いチームメイトとともに2年連続のタイトル獲得へ挑むことになる。

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取材・文●井本佳孝(SPREAD編集部)

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