パリ五輪で日本と対戦する他国の反応は?ドイツ指揮官「2番目にタフなグループ」、フランスは「(日本には)アスレチックな戦いを強いられる」<DUNKSHOOT>

今年の夏、パリで開催される夏季オリンピックで、男子日本代表(FIBAランキング26位)は、W杯王者ドイツ(同3位)、ホスト国フランス(同9位)、そしてラトビアで行なわれる最終予選の勝者と対戦することが決まった。

2021年の東京五輪で銀メダルを獲得したフランスは、自国開催のこのパリ五輪で悲願の金メダルを狙っている。昨年のW杯で初めて世界の頂点に立ったドイツもメダル獲得を必達目標に掲げており、いずれも優勝候補と言って間違いないだろう。

ドイツ代表のゴードン・ハーバートHC(ヘッドコーチ)は、この抽選結果を受けて「2番目にタフなグループ。最終予選からどのチームが勝ち抜けてくるかわからないから興味深い」と感想を語っている。

ドイツと日本は昨年のW杯でも初戦で顔を合わせ、ドイツが81-63で勝利している。今回もまた初戦(7月27日)で激突する奇妙な縁となったが、彼らは“縁起が良いスタート”が切れると感じているかもしれない。
2021年9月にドイツ代表の指揮官に就任した際、ハーバートHCは「ここから3度の夏で3個のメダルを手にしたい」と抱負を語り、計画通り22年のユーロバスケット(欧州選手権)で銅メダル、23年のW杯で金メダルと、すでに2つのメダルをゲットした。

今年の夏、3個目を手に入れればミッション完了となるが、「我々は現状に満足することなく、昨年の夏にやったことを土台にして、さらに前進しなければならない」と気を引き締めている。

ドイツ代表の主力の1人、ロサンゼルス・クリッパーズのダニエル・タイスも、「我々は世界チャンピオンだ。胸を張って臨む。目標はもちろんメダルを獲ること。質問を受けるまでもなくね」とメダル獲得に意欲的だ。彼はフランスとの対戦を楽しみにしているという。

「ホームチームとの対戦というのは刺激的だ。自分たちはそれをユーロバスケットで体験したからわかる。彼らとの対戦は楽しみだよ」

ちなみに両者は、五輪本番前のエキシビションマッチで2度対戦することがすでに決定している。 一方フランスでは、“クジ運に恵まれた”というムードが漂っている。

抽選が行なわれる前は「かなり緊張していた」というフランスのヴィンセント・コレHCは、「とても興奮している。これで対戦相手についてじっくり研究できる。自分たちが何をすべきかをイメージしながら取り組めるよ」と組み合わせ決定後の会見でコメントした。

今回の抽選において、コレHCが避けたかった相手は「セルビア」だったという。それが叶った上、東京五輪銅メダリストのオーストラリアを避け、どこが勝ち抜けてくるかわからない最終予選枠では、彼らにとって宿敵とも言えるスペイン擁するスペイン会場や、スロベニアとギリシャのいるギリシャ会場ではなくラトビア会場(ジョージア、フィリピン、ラトビア、ブラジル、カメルーン、モンテネグロ)を引き当てた。それらを総合して「全体的に満足している」とホスト国の指揮官は語っている。

もっとも、フランスは昨年のW杯でラトビアに敗れている(●86-88)ため、コレHCも「過去のことは忘れていない。しかも次はクリスタプス・ポルジンギス(W杯はケガで欠場)も出てくるかもしれないから余計に読めない」と慢心はしていない。
日本については、「彼らはスピードを武器とした独特のバスケットをするチーム。いったん火がつくと手が付けられないシューターがいて、その周りに渡邊雄太と八村塁がいる。彼らとはアスレチックな戦いを強いられることになるだろう」と印象を語った。

フランス国内では、ヴィクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)とルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)の強力ツインタワーを擁する自国と、世界王者ドイツでグループ1、2位を争うというシナリオが予想されているが、昨年のW杯5位のラトビアも近年急速に力をつけている。世界ランキングはW杯前の29位から現在6位と、その成長ぶりは世界でも群を抜く。

そのなかで日本もトム・ホーバスHC就任以降、着実に競争力を高めており、虎視眈々と番狂わせを狙う。八村をはじめ史上最強と目されるベストメンバーが揃えば、そうやすやすと他国の予想通りの展開にはならないだろう。

準々決勝には3グループの各上位2チームに加え、各3位の中から成績順に2チームが進出できるため、たとえ負けゲームであっても、できるだけ接戦を演じることもポイントになる。

「今回はオリンピック史上もっとも熾烈なトーナメントになるかもしれない」とコレHCは予想する。夏の熱き戦いに向け、カウントダウンが始まった。

文●小川由紀子

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