保津川下り2人死亡転覆事故、船頭を書類送検 船運航の組合は刑事責任問えず

転覆した保津川下りの船の周辺を調べる関係者ら(昨年3月28日午後4時10分、亀岡市)

 京都府亀岡市の桂川(保津川)で「保津川下り」の船が転覆して船頭2人が死亡した事故で、京都府警捜査1課と亀岡署は22日、業務上過失致死傷の疑いで、当時かじを操作していた別の船頭の男性作業員(37)=亀岡市=を書類送検した。

 書類送検容疑は、昨年3月28日午前11時ごろ、亀岡市の乗船場から約3.2キロ下流の桂川で、観光遊船を操作中に川に落下して操船が困難な状態に陥らせ、落水から約150メートル先の岩場に船を衝突させて転覆。船頭2人を溺死させ、9~65歳の乗客19人に低体温症や打撲、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの傷害を負わせた疑い。

 府警は、男性が急流場所で体勢を安定させて落水を防止する注意義務を怠ったため、バランスを崩して落水したとみている。男性は「操船時の体勢やこぎ方に問題があった」と容疑を認めているという。転覆によって乗客乗員計29人は全員、川に投げ出された。船を運航した保津川遊船企業組合(亀岡市)については、乗客に救命胴衣を装着させるなどの安全対策を取っていたとして、刑事責任を問えないと判断した。

 事故を受け、保津川遊船企業組合は昨年6月、再発防止策を発表した。船頭の落水防止用バンドを船体に設置し、救命具をベスト型と自動膨張型に変更するなどの対策を取った。船頭を対象にした水難救助の実技訓練を重ね、同7月中旬、事故から約3カ月半ぶりに運航を再開した。

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