WTO紛争処理改革、調整役の任命に苦戦=関係者

Emma Farge

[ジェネーブ 21日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)は、紛争処理制度の年内の機能回復に向けた協議の調整役を担う大使の任命で苦戦を強いられている。複数の関係者が語った。

アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開催されたWTO閣僚会議は、小さな成果を挙げたものの、大きな合意には至らず、機能回復の取り組み継続が数少ない具体的成果の一つとなった。

紛争処理の最終審に当たる上級委員会は、米国が委員補充を拒否しているため、2019年から機能不全に陥っており、制度改革について合意を目指す協議が行われている。

しかし前の調整役で、紛争処理の新たな交渉手法を編み出して評価されたグアテマラのマルコ・モリーナWTO大使は、閣僚会議の数日前に解任された。

関係者らによると、WTOは21日と22日にジュネーブで開催される総会で後任を提案したい意向だったものの、ボツワナとホンジュラスを含む3カ国の大使が拒否した。

あるWTO代表は匿名を条件に「仕事量が膨大で、まとめるのは極めて困難なため、拒否するのはもっともだ」と語った。

WTOの合意は加盟166カ国・地域全ての賛成が必要であるため、成立させるのは容易ではない。

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