職員の目で空を見続けて141年…鹿児島地方気象台 天気の「目視観測」終了、自動観測に移行 残るは東京、大阪だけに

雲や視程など気象状況を目視で確認する職員=21日、鹿児島市の鹿児島地方気象台

 鹿児島地方気象台(鹿児島市東郡元町)の「目視観測」が25日、141年の歴史に幕を下ろす。26日からは各観測機器や気象衛星などのデータを使い自動観測に移行する。

 目視観測は気象台の前身、鹿児島県測候所で1883(明治16)年に始まった。午前0時を除く3時間ごとに雲の形や水平方向に見通しが利く距離「視程」を職員が目で見て天気や大気現象などを発表してきた。

 21日正午前、8階建て庁舎の屋上で入庁4年目の青木宏平さん(28)が360度を見渡して雲の形などを確認。すぐに気象庁にデータを送った。「1年目は10種類ある雲の判別に戸惑った」と話した。

 今後は空気中の水滴やちりを観測し視界を予測する「視程計」や、降水現象を感知する「感雨計」などを活用。自動化に伴い、機械で判別が難しい快晴や薄雲などの観測はなくなる。

 業務効率化が進み、目視観測は九州では同気象台と福岡で続いていた。26日からは東京と大阪だけで実施する。20年ほど観測に携わった福永信悟防災管理官(55)は「先輩に雲の見方を教わるところから始まった。気持ち的には寂しい」。初霜や桜島の初冠雪などシーズン初の現象は職員が目視して発表する。

新たに導入された視程計=21日、鹿児島市の鹿児島地方気象台
〈別カット〉雲や視程など気象状況を目視で確認する職員=21日、鹿児島市の鹿児島地方気象台

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