インドネシア大統領選、プラボウォ国防相の当選が確定 対立候補は不正を主張

インドネシアの選挙管理委員会は20日夜、2月14日に投開票された大統領選挙で、プラボウォ・スビアント現国防相(72)が当選したと発表した。

プラボウォ氏の得票率は58.59%で、決選投票を回避するのに必要な過半数を上回った。対立候補で、ともに前州知事のアニス・バスウェダン氏は25%、ガンジャル・プラノウォ氏は16%の得票率だった。

プラボウォ氏は結果を受け、国民に結束を呼びかけた。

「私たちに投票しなかった人たちに伝えたい。私たちにチャンスをください」

「すべてのインドネシア国民のために精一杯働く大統領と副大統領であることを、私たちは証明する」と、プラボウォ氏は述べた。

プラボウォ氏は現職のジョコ・ウィドド大統領の後任として、10月に大統領に就任する。

アニス氏とガンジャル氏は選挙に不正があったとして裁判所に異議申し立てを行う方針。

今回の大統領選は、三つの異なるタイム・ゾーンにまたがって、1万7000の島々に暮らす2億500万人超の有権者の投票で争われた。1日で実施される選挙としては世界最大で、最終結果が出るまで数週間かかった。

プラボウォ氏はジョコ大統領に感謝の言葉を送った。プラボウォ氏は過去2回の大統領選で、いずれもジョコ氏に敗れた。今回の選挙戦ではジョコ氏の暗黙の後押しが勝利につながったと広く考えられている。

ジョコ氏は依然として絶大な人気を誇るが、5年の任期を2期務め、さらなる立候補はできない。

次期副大統領はジョコ氏の長男ギブラン・ラカブミン・ラカ氏(36)。インドネシアの総選挙法では副大統領候補の年齢が40歳以上に制限されていた。しかし、憲法裁判所は立候補の届け出開始直前に、地方自治体トップに選出された経験があれば40歳未満でも出馬が認められるとの判断を示し、スラカルタ市長を務めたギブラン氏の出馬が可能になった。

プラボウォ氏は先月、非公式集計でライバル候補に大差をつけていることが示され、大統領選で勝利したと主張していた。この数週間、各国の指導者も同氏の勝利を祝福していた。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は20日、「心からの祝福」を伝えるとともに、インドネシア国民の「力強い投票数と、民主主義や法の支配へのコミットメント」を称賛した。

ドイツのオラフ・ショルツ首相は声明で、「我々の戦略的パートナーシップをさらに深めること」を楽しみにしていると述べた。フランス外務省も同様の見解を示した。

対立候補は反発

アニス氏とガンジャル氏の支持者による抗議が予想されたことから、警察は正式な選挙結果の発表前に、首都ジャカルタの全域に警官3000人以上を配置した。

街頭ではこの数週間、不正選挙がまん延しているとして抗議行動が起きている。

アニス氏とガンジャル氏は先に、ギブラン氏の出馬は、プラボウォ・ギブラン陣営に対するジョコ氏の偏愛を示す裏工作の一環だと主張していた。

アニス氏は20日、選挙に不正があったと主張。自身の法務チームが法廷で争う方針だとした。

アニス氏は「偏向や不正で汚れたプロセスから生まれたリーダーシップは、不当な政策を掲げる政権を生み出すだろう」と述べたと、ロイター通信は伝えた。

ガンジャル氏の法務チームの代表もBBCインドネシア語に対し、選挙結果について法廷で争うつもりだと語った。インドネシアの法律では、結果発表から3日以内に異議申し立てを行う必要がある。

「不法行為に関する申し立てが多く寄せられている。『レフォルマシ』期に実施された今回の選挙は、ポスト・スハルト期のどの選挙よりも自由でも公正でもないと(大勢の人が)考えている」と、インドネシアの国立研究革新庁のデウィ・フォルトゥナ・アンワル教授は21日、BBC番組「ニュースデイ」で語った。

改革時代としても知られる「レフォルマシ」期は、1998年5月にインドネシアの権威主義的なスハルト大統領(当時)が倒れたことで始まった。

「インドネシア全土の学者や市民社会組織は、倫理的・法的な違反行為(の疑惑)や、不適切あるいは違法とさえ言えるような国家資源の使用について懸念を示してきた」とデウィ氏は述べた。

追加取材:BBCインドネシア語

(英語記事 Indonesia: Prabowo Subianto confirmed as president-elect as rivals allege fraud

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