国内ではしか感染相次ぐ ワクチン2回接種推奨 未就学児保護者らに群馬県

 海外からの帰国者や旅行者のはしかの感染報告が国内で相次いでいる中、群馬県は21日、県内で未就学児を育てる保護者らに向けて、小学校入学前までに2回のワクチン接種をするように改めて呼びかけた。集団免疫の獲得に必要とされるワクチン接種率は95%以上とされるが、県内における2022年度のワクチン接種率は1回目95.2%、2回目94.6%だった。

 県によると、今年に入ってからのはしかの感染者は10日までに全国で11人が報告されている。県内では確認されていない。

 ワクチンは自己負担のない定期接種で、2000年4月2日以降に生まれた人は、1歳で1回目、小学校入学前で2回目を受ける。群馬県の接種率は1、2回目とも近年は95%前後で推移している。

 感染者が全国的に確認されているのを受けて、ワクチン需要が高まってはきているが、県は「県内は逼迫(ひっぱく)している状況ではない」と説明する。はしかの患者を早期に発見できるよう、県医師会にも協力を求めたという。

 山本一太知事は21日の定例会見で「お子さんの接種を積極的にお願いしたい。2回接種をしていない人はかかりつけ医に相談を」と呼びかけた。

 はしかは麻疹ウイルスを原因とする感染症で、感染力が極めて強く、同じ空間にいるだけで空気感染する。免疫がなければ感染後約10日で発症し、発熱やせきなど風邪に似た症状や発疹が出る。発症の前日から発疹出現後4~5日目までは周囲に感染させる懸念がある。有効な予防法はワクチンだけで、確実に免疫をつけるには2回の接種が望ましいとされている。

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