狭い部屋にいながら無限に広がるVR空間を歩き回れる新技術、東北大学が開発

実際に歩行することでバーチャルリアリティ(VR)空間内を探索する「ルームスケール VR」体験は、まるでその世界に入り込んだような高い没入感をもたらすことから、近年、幅広い分野での応用が期待されている。しかし、大きな物理空間を必要とすることや、触覚のフィードバックが得られないことが大きな障壁となっていた。

東北大学電気通信研究所の研究グループは、VR空間内での「ドアを開ける」行為に着目し、これらの制約を解消し限られた物理空間内で実現可能にするため、独自の新システム「RedirectedDoors+」を開発した。

「RedirectedDoors+」は、複数のドアを連続的に開けながらVR空間内を歩行する体験での触覚フィードバックを提示するとともに、この体験が限られた物理空間内に収まるようにユーザの進行方向をだまして誘導することを実現したシステムだ。このシステムでは、ドアノブの触覚フィードバックを提示するために、全方位自走式ロボットの上にドアノブ型の装置を搭載した「ドアロボット」を開発した。

さらに、このロボット複数台の配置を適応的に決定するための「ロボット配置アルゴリズム」、および、ユーザの歩行経路が物理空間内に収まるようユーザを誘導する「ユーザステアリングアルゴリズム」を新たに開発した。

リアルなVR体験を限られた物理スペースで実現できる技術は、エンタテインメント以外に、VR職業トレーニング、建築・都市計画をはじめとしたVRウォークスルー体験など、様々な分野への応用が期待されるとしている。

論文情報:

【IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics】RedirectedDoors+: Door-Opening Redirection with Dynamic Haptics in Room-Scale VR

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