子どもを中心に絶大な人気を誇るYouTuber・バンカラジオの自然体な魅力

「天才小学生」と「最恐の母」シリーズなど、コメディー動画で子どもを中心に絶大な人気を誇るYouTuber「バンカラジオ」。現在では登録者数が90万人を突破し、100万人も目前というまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの、“やねすけ”と“きいた”にニュースクランチが独自インタビュー。二人の出会いや幼い頃の夢、順風満帆ではなかった歩み、そして“好きなことを仕事にするためのコツ”まで聞いた。

▲バンカラジオ(きいた・やねすけ)【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-Interview】

出会いは予備校で早稲田大学で意気投合

――子どもたちを中心に絶大な人気を誇るバンカラジオのお二人ですが、きいたさん、やねすけさんの小さい頃の夢を教えてください。

やねすけ:父親がエンジニアをやっていたこともあり、夢を聞かれたら「エンジニア」って答えてました。

――お父さまの職業に就きたいというのは、とても良い子って感じがします。

やねすけ:そう思っていただけるとありがたいですけど、小さい頃って自分の父親以外の人たちがどんな仕事をしているのか、わからないじゃないですか(笑)。そういうのもあったと思いますが、エンジニアってカッコいいなと思ってました。

きいた:夢について印象的なことがあるんですけど、小学校6年生のときにオーストラリアの日本人学校に行ってたんです。そこの卒業式で、将来の夢を発表する場があって「教科書に載るような人物になります」って言いましたね。

やねすけ:カッコいい(笑)!

――本当カッコいいですね!

きいた:子どもの無邪気な感覚ですよ、“たぶん教科書に残るような歴史的な人物だったら、お金持ちになれるに違いない!”くらいの感覚です。

――でも、教科書……とまではいきませんが、子どもたちに支持されて、動画を作成するうえでエンジニアのようなこともしてるでしょうし、お二人の夢は叶ってるようなものですね。

きいた・やねすけありがたいです(笑)。

――お二人の出会いはいつだったのでしょうか。

やねすけ:初めて会ったのは予備校の河合塾ですね。その頃も仲は良かったんですが、同じ第一志望の早稲田大学に入学して、そこで僕は将来的にフリーランスで何かをやっていきたいと思ったり、きいたはその頃ブロガーをやっていました。二人の共通点としてYouTubeが好き。その頃、まだ周りにYouTuberが好きという人があまりいなかったので、じゃあ一緒にやってみようかとなりました。

きいた:僕は大学1年生の頃に短期留学をしてまして、そのときのブログをやねすけが読んでくれてたんです。「ブロガーで稼げるのかな、フリーランスでも食っていけるのかな?」みたいな話をしていて、やねすけは動画編集ができたんで、じゃあYouTubeをやってみようって。

やねすけ:二人だったらなんとかなるんじゃない? くらいの軽い感じでしたね。

――それが、ここまでのチャンネルになるんだからすごいですよね。

きいた:でも、軌道に乗るまでは、本当にYouTuberの全ジャンルをやったんじゃないか、というくらい試行錯誤しましたよ。最初は本当に再生数も伸びなかったので。

▲バンカラジオ内の名物キャラクター、天才小学生の「やねすけ」

ありふれたYouTuberにはなりたくない

――先ほど、河合塾で初めてお会いしたとおっしゃってましたが、お互いの第一印象はどういうものだったのでしょうか?

きいた:やねすけの第一印象は……オシャレですね(笑)。70名くらいが同じスケジュールで授業を受けるんですけど、そこで友人になることって珍しくて。僕はわりと友達を作っていたタイプだったんですが、やねすけは教室で1人で。オシャレだし仲良くなりたかったけど、ずっと1人だし……ちょっと怖い、みたいな(笑)。

やねすけ:そうだったんだ(笑)。

きいた:それが早稲田のオープンキャンパスでたまたま会って、やねすけから声かけてもらって、“わ、意外と優しいじゃん”と思いました(笑)。

やねすけ:(笑)。たしかに、僕は予備校で友達を作るよりかは、ちゃんと勉強しようと思ってたんですけど、きいたはクラスで一大勢力だったんですよ。どんどん勢力を拡大して、騒いでるグループの中心人物ってイメージでしたね。

きいた:それ、あまりいい印象じゃなくない?

やねすけ:(笑)。早稲田のオープンキャンパスでたまたま会って、“同じクラスだし、話しかけないのもなぁ”と思って話しかけました。そこで意気投合した感じですね。

――バンカラジオを見ていていると、お二人の空気感が良いというか、自然と無理なく、お互いを尊重しているように見えるところがいいですよね。

やねすけ:二人ともYouTubeがすごく好きで、学生の頃も人前に出て笑わせる、みたいな感覚が近かったのは大きいと思います。あと、バイタリティーは高かったんじゃないかな。

きいた:意外と周りにそういう感覚が合う人がいなかったんで、一緒にいて無理がなかったし、自然とコンビになっていったんじゃないかなと思います。

――なるほど。あと、バイタリティーは高くても下品じゃない。上品なところがお二人からは感じられます。

きいた:僕が突っ走るタイプで、やねすけがブレーキ役という役割がはっきりしているからかもしれません。やねすけが「それはやめとこうよ」というものは、僕も「ああ、やめといたほうがいいか」って、コンビとしては彼が指針ですね。

やねすけ:そうですね。なんとなく、自分の中で下品なものはやめときたい、みたいなのはありますね。例えば、イメージとしてYouTuberで、ある程度の成功をしてお金がドカッと入ったなみたいに、みんなが思うのは自由でいいんですけど、急にブランド丸出しの服で全身固める、みたいなダサいのはやめとこうという気持ちはあります。

これは一例ですけど、それをやることで逆に埋もれちゃうから、ありふれたYouTuberに自分からなっていくようなことはしたくないですね。もしかしたら、見ている側は気にしてないかもしれないし、なんとなくのイメージで括られているかもしれないけど、作ってる動画は老若男女、皆さんに楽しんでもらえるように作っているので、そこから外れないように、独自のアイデアや見せ方にはこだわっているつもりです。

視聴者の方にがっかりしてほしくない

――今年1月に発売された『超ハイレベルでヤバすぎるまちがいさがし』(小社刊)も、こだわりが詰まっているんですよね。

きいた:最初、出版社の方から「知育本」というテーマをいただいて、新しいバンカラジオの面白さが生み出せるんじゃないかなと思って「やりましょう」となりました。

やねすけ:僕らは動画で表現しているので、イラストで僕らの動画の世界観が表現できるならいいなというのと、知育本というと小学校低学年以下のお子さんが読むものなので、親御さんも一緒になって楽しめるような作りにしたいと思いました。

――お二人からアイデアや要望などは出したんですか?

きいた:ストーリーの部分は僕らでしっかり考えたい、ということは話しましたね。やはり、いつもバンカラジオを見ている視聴者の方にがっかりしてほしくない、というのはあったので、そこはこだわらせてもらいました。

――視聴者の方も楽しめつつ、初めて見る方にもわかりやすいように、きちんと冒頭に“やねすけ”と“きいこ”のキャラ設定が説明してありましたね。

やねすけ:天才小学生の“やねすけ”と最恐の母“きいこ”で、この本の世界感を任せていただいたので、そこは初めて見る方にもきちんとわかりやすく。この本をきっかけに動画を見てもらえたらうれしいな、という気持ちも込めて作らせていただきました。

きいた:ただ……本当に難しいんですよね。自分で読んでみて驚いたところはそこです。“すごく難しいじゃん!”って思いました(笑)。なので、本当に親御さんもお子さんと一緒にワイワイ楽しめると思います。

▲バンカラジオ内の名物キャラクター、最恐の母「きいこ」

活動休止を経験してパワーアップした

――この本の企画が動き出したのが2~3年前とお聞きしたんですが、ここまで時間がかかったのは、こだわり以外にもいろいろあったのでしょうか?

きいた:そうですね。ありがたいことに、バンカラジオが軌道に乗って、この本のお話も来て……そんななかで後発の動画チャンネルで「これ、俺たちのアイデアそのままやってない?」みたいなものも生まれて(笑)。

周りから見たら順風満帆だったかもしれないんですけど、個人的にはこのままだと、後発のチャンネルにもすぐ追い抜かれちゃうんじゃないかって、僕自身もっと勉強したかったし、もっと上に行くための種まきもしたかったんですけど、動画作成に追われて……ちょっと精神的に参ってしまったんで、一旦中断させてもらって。そのタイミングで留学もさせてもらったんです。

――留学されてたんですね。

きいた:はい。目標として日本代表になりたいという想いがあって、英語と映像の勉強をしにニューヨークに行かせてもらいました。その帰ってきたタイミングで、ありがたいことに本の企画がまだ生きていたんで「ぜひ、やらせてください」という感じでした。

――やねすけさんは待っている期間、どんな気持ちだったんですか?

やねすけ:不安はなかったんですね。そのタイミングで高校の同級生がバンカラジオに加入してくれたり、手伝ってくれてたメンバーが正式にチームに入ってくれるようになって、裏方の仕事もやってくれるようになったので、きいたが戻ってくるまでにチームとしてもっと底上げして、そこにインプットした彼が戻ってきたら、もっとすごくなるんじゃない?って。

きいた:ありがたかったです。

――友情というと安っぽいですけど、お二人の絆みたいなものを感じました。YouTuberというのは「好きなことを仕事にしている」という言葉の象徴のように思います、人気YouTuberのお二人から見て、「好きなことを仕事にする」という言葉にはどういう印象をお持ちですか?

やねすけ:僕らは、もともと好きなことを仕事にしたいというよりか、好きなことをやり続けていたら仕事になった、が正しいですかね。もちろん、そういう目標を持つこともいいと思うんですが、逆を言うと、僕はつまらないことを我慢して仕事をする、という感覚が理解できないんです。好きなことを仕事にしている人が羨ましいのであれば、そのように動けばいいと思うし。

でも、世の中の大半の人が“仕事めんどくせー”と思ってるのはわかります。僕らみたいな仕事を“楽”と思ってるのもわかるんですけど、そう見えているからこそ、人を惹きつけるんだろうとも思います。YouTuberと言われる人たちは、そういう考えの方が多いんじゃないでしょうか。

きいた:僕は“好きなもの”イコール才能だと思ってます。最初の僕の夢は、世界中どこにいてもできる仕事だったんです。だから、大学1年からプログラミングの仕事を始めたんですが、そこでは本当にプログラミングが好きで、プログラマーを目指す人たちにどうやっても勝てない。

いろいろ試行錯誤したことで、自分の中でYouTubeが本当に好きなもので、それがうまくハマった。この6年間、一度も飽きることなくできています。だから、本当に好きなことを仕事にしたいという人がいれば、それを一度試してみて、それが本当に好きだったらうまくいくと思います。

――では最後に、今後の目標をお聞きできますか?

きいた:バンカラジオの目標は世界一で、それを成し遂げられると思ってるんです。でも、まずは日本一になること。世界中の人に楽しんでもらえるような動画作りや、英語の吹き替えにも挑戦していて、直近の目標は海外の人が楽しんでくれることですね。最終的には、ド派手にYouTubeの歴史に残るような、この時代を作ったのはバンカラジオだってくらいになりたいですね。

やねすけ:もうすぐ100万人なんですが、国内だとそこまで珍しくないですよね。もちろん、登録者数が増えるのも、世界中の方々に楽しんでもらえるのも大事なのですが、1つの動画でどれだけ人に影響を与えられるか、投稿した1か月後には忘れられているような動画じゃなくて、バンカラジオの動画を見て、5年後、10年後に影響を受けた子どもたちが出てきてほしい。100万人の登録者がいるコメディYouTuberということには胸を張りつつも、数に囚われることなく活動していきたいです。


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