もう1人の自分に死刑執行 その様子を見つめる男 「インフィニティ・プール」本編映像

2024年4月5日より劇場公開される、デヴィッド・クローネンバーグを父に持つブランドン・クローネンバーグ監督の長編第3作「インフィニティ・プール」から、アレクサンダー・スカルスガルド演じるジェームズが、”もう1人のジェームズ”の死刑執行の様子を見つめるシーンの、本編映像が公開された。

映像では、旅先のリゾート地で交通事故を起こしてしまい、死刑を宣告されたジェームズに死刑が執行される様子が収められている。だだっ広く薄暗い部屋の中、おなかの部分だけを丸くくり抜いた服を着用し、後ろ手で柱に縛り付けられた”もう1人のジェームズ”。緊張感のあふれる表情で固唾(かたず)を飲んで見守る被害者遺族、そして加害者のジェームズと妻のエム。ナイフを片手にした処刑人が”もう1人のジェームズ”に近づいていく。”もう1人のジェームズ”は、涙を流しながら身をよじり、必死に命ごいをするのだった。

「インフィニティ・プール」は、裕福な若い夫婦が訪れた美しいリゾート地“リ・トルカ島”を舞台としたスリラー。高級リゾート地として知られる孤島を訪れたスランプ中の作家ジェームズは、裕福な資産家の娘である妻のエムとともに、バカンスを楽しみながら新たな作品のインスピレーションを得ようと考えていた。ある日、彼の小説の大ファンだという女性ガビに話しかけられたジェームズは、彼女とその夫に誘われて一緒に食事をすることに。意気投合した彼らは、観光客は行かないようにと警告されていた敷地外へとドライブに出かける。そしてそれが悪夢の始まりになる。

「ターザン:REBORN」「ビッグ・リトル・ライズ」のアレクサンダー・スカルスガルドと、「Pearlパール」のミア・ゴスが初共演。ほかに、「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」のトーマス・クレッチマン、「月影の下で」のクレオパトラ・コールマンが出演する。

一足先に本作を鑑賞した著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】 ※五十音順、敬称略

自分のクローンが処刑されるのを見せられるなんて。ああ、恐ろしい!しかし待てよ?・・処刑されたのは本当にクローンの方か?・・どちらにせよ恐ろしい。
■伊藤潤二(漫画家)

禁忌は厄介なことにすべて魅惑的なのだ。しかし禁忌はやはり踏み込んではならぬ。
この映画でそれを知り、魅惑に浸るだけにしてほしい。
■岩井志麻子(作家)

危ない目に遭いまくったり、自らその危険に身を投じたりする際に“命がいくつあっても足りない”と言いますが、足りないならば足せばいいという発想の転換。ただし足せば足すほど個々の命は軽くなる。そのあたりは監督のお父様が撮られた『クラッシュ』のアンサーだったりするのかな。
■大島依提亜(デザイナー)

オーマイガー!
休暇中の旅行者を地元民が襲う”辺境の地ホラー”と思いきや…そうきたか!
中盤で現れるまさかのSF要素とミア・ゴスのミア・ゴスっぷりを極めた演技に、もうワクワクが止まらない!人間の醜さと狂気を炙り出し、自他の境界線を溶かす”インフィニティ・プール”は、血で真っ赤に染まっている!
■こがけん(芸人)

ブランドンは、ジャンル映画の“淵”を破壊し、映画の“インフィニティ・プール”を現出させた。冒頭からラストまで、全く予想がつかない。コークスクリュー・コースターで、嘔吐と依存を繰り返しているようだ。リアルと夢の狭間を往復する酩酊感。何処までも生臭いアナログ感。喪失後に繰り返される、産まれ堕ちる恍惚感。犯罪を犯し、良心を侵し、リプレイする罪悪感。まさに底なし沼から抜け出せないビデオゲームの危うさにも似ている。これは、体と脳の“淵”を取り払った“インフィニティ・ホラー”だ。ブランドンの才能は、“インフィニティ(無限)”だった。
■小島秀夫(ゲームクリエイター)

たまらない映画を観てしまった…。ミア・ゴス!また新たな挑戦をしやがったなっ!!ほとばしるミア・ゴスの邪悪ないざない!堕ちろ!堕ちろ!堕ちろ!潰せ!潰せ!叩き潰せ!恐るべきブランドン・クローネンバーグ!すげ〜映画を観てしまった!!最高だぜっ!!!
■竹中直人(俳優・映画監督)

何がまともか。人間としての形を何が証明するのか。 自分が目の前にいたら、私は何と声をかけるだろう。
■玉城ティナ(俳優)

絶対に先が読めない展開!
全てが想像の斜め上をいく!
これぞクローネンバーグの血脈!!
■永江二朗(映画監督『リゾートバイト』)

万人にはお勧めしませんが
万人には勧められない作品のほうがお好きなひとにはぜひ観てほしい。
■ヒグチユウコ(画家)

クローネンバーグの倅が放った新世紀の阿呆宮!まるでセルロイドの味噌汁を吞まされたような目眩がするぜ!
■平山夢明(作家)

白昼夢の幻想か、二日酔いか。これぞ最低最高な地球の歩き方である!
■皆口大地(「ゾゾゾ」「フェイクドキュメンタリーQ」)

美しいリゾート地を陰惨な暴力が覆い尽くす。R18も納得しかない悪意の極致。父親のクローンではない、ブランドン監督自身の作風を確立している。
■人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)

インフィニティ・プールがそうであるように、自己とクローンも境目を失くし融和する。
そうしたアイデンティティの危機がなぜか心地よく、
定期的に自分を手放したくなる私にはあのラストシーンがとても羨ましく見えてしまった。
■野水伊織(映画感想屋声優)

【作品情報】
インフィニティ・プール
2024年4月5日(金)新宿ピカデリー、池袋HUMAXシネマズ、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開
配給:トランスフォーマー
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