ホンダの元王者がFL5型シビックで初優勝も「短縮ノーポイント」裁定に“抗議”の欠場/TCR豪州第2戦

 早くも2024年の第2戦を迎えた南半球はオーストラリア大陸のTCRオーストラリア・シリーズは、3月15~17日にシモンズプレイン・レースウェイで決勝3ヒートが争われたものの、赤旗短縮レース1の裁定を巡って抗議の応酬が続く後味の悪い結末に。結果「プロフェッショナルに反した」決定に抗議した2022年王者かつ週末レース1勝者のトニー・ダルベルト(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ホンダ・レーシング・チーム・ウォール)が、レース3を欠場する事態となった。

 開幕戦のサンダウンから2台減の参戦13台による勝負となったタスマニアの週末は、今季よりQ1、Q2のステージ方式に変更された予選で新王者ジョシュ・バカン(ヒョンデi30 N TCR/HMOカスタマー・レーシング)を撃破したホンダの元王者が、まずレース1に向けたポールポジションを手中に収める。

 そのスタートでは蹴り出しで遅れたダルベルトに対しバカンが逆襲。チャンピオン対決を制してターン1のホールショットを奪ったが、ここでルーキーのライアン・カシャ(プジョー308 TCR/チーム・バルボリンGRM)がターン3でウォールにヒットし、タイヤにダメージを受けヘアピンを直進してしまう。これでいきなりの赤旗となる。

 ポジションを回復してリスタートを迎えたダルベルトは、再度のオープニングラップでからくも首位を維持し、2番手バカンの背後にはホンダの僚友ブラッド・ハリス(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)が続くトップ3となる。

 しかしそのハリスも2周目のヘアピンでグラベルに捕まり、ここでセーフティカー(SC)が出動。これらトラブル続発の結果、レース距離は予定された30周からタイムレースへと変化し、リスタートから実質10周の勝負へと変わる。

 これにより2番手の王者バカンには首位に返り咲くための充分な時間がなく、ダルベルトが1秒強のマージンを得てトップチェッカーを受けた。

 明けた日曜のレース2とレース3を前に、古豪GRMからの疑義提出を受けたレーススチュワードは、その申し出を受け入れるかたちで「土曜日のオープニングヒート(レース1)の結果を無効にする」という決定を下す。この判断に多くの議論が巻き起こるなか、まずはレース1で10位を獲得してリバースポールを得ていたディラン・オキーフ(リンク&コーCo 03 TCR/オートグリム・アシュリー・シュワード・モータースポーツ)が移籍後初勝利を手にする。

レース1はトニー・ダルベルト(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/Honda Racing Team Wall)がトップチェッカーを受けた
名物のヘアピンではレース2でも波乱が発生。そんな混乱の展開をリバースポールのディラン・オキーフ(Lynk&Co 03 TCR/Autoglym Ashley Seward Motorsport)が制する

■3レースすべての結果が暫定扱いに

 しかし、レース3のグリッドは『週末の最初の2レースで獲得したポイントに基づいて決定される』との規則に則せば、本来はレース1勝者でレース2でも8位に入っていたダルベルトが、週末最後のヒートを最前列からスタートする権利を得るはずだった。

「我々は予選ポールポジションを獲得し、レース1で勝利し、その後のレース2では(レース3に向け)マシンをケアしつつ温存した」と語ったダルベルト。

「最後のレースでポールポジションからスタートするポイントも権利もあること理解していたが、レース1はノーポイントという決定が下され7番グリッドに戻ってしまった。それはプロフェッショナルな裁定ではなく、僕は立場を示さなければならなかった。チームは僕にレースをして欲しかったが、僕はシートに座らないことにした……すべてのことにイライラしているよ」

 これで最終ヒートも首位発進となったオキーフに対し、ジョーダン・コックス(プジョー308 TCR/GRMチーム・シェフラー)、ザック・スーター(アウディRS3 LMS 2/タフリスト・レーシング)らとの勝負を繰り広げたBTCCイギリス・ツーリングカー選手権出身のトム・オリファント(ヒョンデi30 N TCR/HMOカスタマー・レーシング)が、最終レース3で勝利を飾っている。

 こうして週末のすべての日程を終えたところで、ダルベルトとウォール・レーシングは正式に控訴する意向の通知を提出し、これを受けたシリーズ統括団体のモータースポーツ・オーストラリアは以下の声明を発表している。

「レース1にフルポイントを付与する決定がなされ、暫定結果が発表された後、日曜日の朝にギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)より抗議が提出された」

「その後、この抗議は聞き入れられ、スチュワードは開幕戦にはポイントを与えないと決定した。すべての競技者が利用できる標準的な司法手続きの一環として、ウォール・レーシングはその決定に対して控訴する意向の通知を提出した。控訴書類が規定の時間内に提出された場合、公聴会は次戦フィリップアイランドの前に予定される」

「司法手続きが続いていることを考慮すると、シモンズプレインでのラウンド全体の順位は暫定的なままだ。モータースポーツ・オーストラリアは、このイベントに関連する今後の司法問題の結果についてアドバイスする予定である」

昨季の自身のマシンに乗るオキーフに対し、レース3ではトム・オリファント(ヒョンデi30 N TCR/HMO Customer Racing)が逆襲
元BTCCイギリス・ツーリングカー選手権優勝経験者にとっても、移籍後初勝利となった

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