復活した世界最高DF、新天地で輝く点取り屋、20歳の“怪物”…欧州5大リーグのベスト11を紹介

2023-24シーズンの欧州各国リーグも終盤戦に差し掛かり、優勝争いや残留争いが激しさを増している。

熱戦が繰り広げられてきた今シーズンの欧州サッカーだが、各国のリーグ戦も残り10試合を切り、ここから佳境を迎える。ソワソワするファンのお尻がスタジアムの席とこすれて音を立てることから、元マンチェスター・ユナイテッドの名将サー・アレックス・ファーガソン監督が「squeaky-bum time(直訳すると“軋むお尻の時間”)」と名付けたシーズン終盤の重要な時期だ。それでは、そんな欧州5大リーグで今シーズンここまで活躍しているベストイレブンを見てみよう。

試合でのデータを元に選手の採点を付けている『WhoScored.com』による、今シーズンここまで最も活躍している「欧州5大リーグのベストイレブン」がこちらだ。

[写真]=Getty Images

■GK:ミケーレ・ディ・グレゴーリオ(モンツァ)

モンツァで好セーブを連発しているディ・グレゴーリオ

今シーズンここまで欧州5大リーグで最高の採点を誇るGKはセリエAで10位に着けるモンツァの守護神ミケーレ・ディ・グレゴーリオだ。インテルの下部組織で育った26歳は、2021-22シーズンに当時セリエBのモンツァにローン加入すると、チームをセリエA昇格に導き、そのまま完全移籍へ移行した。

今シーズンはどれだけ失点を防いだかを数値化した「PS×G−GA」(シュートが打たれた後の被ゴール期待値−実際の失点数)が「6.1」となっている。自身の力だけで6失点も防いでおり、これはセリエAで1位、欧州5大リーグで見ると7位の数字だ。『WhoScored.com』による採点の平均は「7.07」で、パリ・サンジェルマン(PSG)所属のイタリア代表GKジャンルイジ・ドンナルンマ(7.04)を抑えてベストイレブンに選出された。

■右SB:ジョアン・カンセロ(バルセロナ)

主戦場はSBながら、高い攻撃性能を誇るカンセロ

両サイドバック(SB)をこなす29歳のポルトガル代表DFは、今シーズンここまでラ・リーガで24試合に出場し2ゴール3アシストをマーク。守備だけでなく攻撃面でも力を発揮しており、1対1のドリブル突破回数はラ・リーガ7位となる52回を記録している。これは欧州5大リーグ全体で見ると24位だが、DFに限れば欧州5大リーグ最多の数字。『WhoScored.com』の採点も平均「7.18」と高水準をキープしている。

■左SB:マクシミリアン・ミッテルシュテット(シュトゥットガルト)

好調シュトゥットガルトを支えるミッテルシュテット

左SBにはシュトゥットガルトのマクシミリアン・ミッテルシュテットが選ばれた。昨年夏にヘルタ・ベルリンからシュトゥットガルトに加入した27歳は、ブンデスリーガで現在3位と好調のチームで大いに躍動。ここまでリーグ戦24試合で2ゴール3アシストをマークしている。

1対1の守備に定評があり、データサイト『FBref』によるとドリブルをタックルで止めた回数がブンデスリーガ最多の40回を記録し、欧州5大リーグで見ても10位の数字となっている。その活躍が認められ、今月にはドイツ代表に初招集された。同じブンデスリーガには、レヴェークーゼン所属のスペイン代表DFアレハンドロ・グリマルドがおり、平均採点では彼の方が上だが、主戦場は左ウイングバック(WB)のため、左SBにはミッテルシュテットが選ばれた。

■CB:フィルジル・ファン・ダイク(リヴァプール)

かつてのような安定感を取り戻したファン・ダイク

世界最高のセンターバック(CB)が復活を遂げた。近年は怪我の影響などもあり、少し調子を落とすこともあった32歳のオランダ代表DFだが、今シーズンは全盛期の姿を取り戻している。2月には延長戦までもつれたカラバオカップ決勝のチェルシー戦で決勝点をマークし、チームに1つ目のタイトルをもたらした。今シーズンはプレミアリーグとヨーロッパリーグ(EL)でも優勝を目指しており、『WhoScored.com』の採点も「7.30」と極めて高い。

■CB:アレッサンドロ・ボンジョルノ(トリノ)

トリノの守備を支えるボンジョルノは昨年6月にイタリア代表デビュー

もう一人のCBはトリノの生え抜き、アレッサンドロ・ボンジョルノだ。190㎝を超える長身で肉弾戦に強いだけでなく、ゲーム展開を読む目も兼ね備えており、今シーズンのセリエAで1位、欧州5大リーグで見ても4位のインターセプト数を誇る。昨年6月にイタリア代表デビューを果たした24歳には、チェルシーなど複数のクラブが関心を寄せているという。

■右MF:ブカヨ・サカ(アーセナル)

アーセナルで世界最高峰のWGへと成長したサカ

右サイドは世界屈指のウイング(WG)に成長したブカヨ・サカだ。アーセナルの攻撃の主軸を担う22歳は、今シーズンのプレミアリーグで27試合に出場し13ゴール8アシストをマーク。昨シーズンも14ゴール11アシストという結果を残しており、世界で“最も安定”した成績を誇るWGと言えるだろう。『WhoScored.com』の平均採点もプレミアリーグ最高の「7.69」となっている。

■左MF:レロイ・サネ(バイエルン)

バイエルンのサイド攻撃を牽引するサネ。ケインとの関係性も良好

バイエルンで活躍する28歳は、今シーズンのリーグ戦でここまで8ゴール11アシストをマーク。ブンデスリーガにおける自己最多ゴールに並んだほか、アシスト数も自己記録を更新済みだ。11アシストのうち約半分の5アシストがイングランド代表FWハリー・ケインのゴールをお膳立てしたもの。昨年夏に加入した万能型FWとは“黄金コンビ”を形成しており、平均採点も驚異の「7.81」となっている。

■CMF:ジュード・ベリンガム(レアル・マドリード)

新加入のレアル・マドリードで別次元の存在感を放つベリンガム

昨年夏にレアル・マドリードに加入していきなり結果を残しているのが現在20歳の“怪物”だ。ベリンガムはラ・リーガでここまで22試合に出場して得点ランク1位の16ゴールをマークしている。平均採点もリーグ1位の「7.78」を記録しており、当然のベストイレブン入りとなった。

■CMF:ジャマル・ムシアラ(バイエルン)

卓越したテクニックでバイエルンの攻撃をリードするムシアラ

もう一人のセントラルMF(CMF)はバイエルンの若き“逸材”ジャマル・ムシアラだ。2ゴール1アシストをマークした今月16日のダルムシュタット戦では、シュート機会を17回(シュート9本とチャンス演出8回)も創出。これは2004-05シーズン以降のブンデスリーガにおける最多記録だという。リーグ戦では最近5試合連続でゴールに絡んでおり、その5試合での『WhoScored.com』の平均採点は驚愕の「8.89」。シーズンを通して見ても「7.79」と高いパフォーマンスを誇っている。

■FW:キリアン・エンバペ(パリ・サンジェルマン)

PSGの“絶対的エース”エンバペは6季連続の得点王へ邁進中

今シーズン限りでのPSG退団が濃厚報じられている25歳のフランス代表FWは、ここまでリーグ・アンで得点ランク1位の24ゴールを叩き出している。6シーズン連続での得点王が確実視されており、平均採点もリーグ・アンで唯一の7点代後半(7.78)となっている。

■FW:ハリー・ケイン(バイエルン)

加入初年度のバイエルンで異次元の決定力を発揮しているケイン

イングランド代表のキャプテンは、ブンデスリーガでもゴールを量産している。昨年夏にトッテナムからバイエルンに加入すると、ここまで欧州5大リーグで今シーズン最多の31ゴールをマーク。74分間で1ゴールという驚異的な決定力で、ブンデスリーガ初挑戦選手の最多ゴール記録を塗り替えた。そして残り8試合では、2020-21シーズンにポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキ(現:バルセロナ)が打ち立てたブンデスリーガ最多ゴール記録(41点)の更新を目指す。『WhoScored.com』の平均採点も、今シーズンここまで欧州5大リーグ最高の「7.87」となっている。

(記事/Footmedia)

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