3年後に約3倍の成長へ、アイリスオーヤマのタブレット戦略

アイリスオーヤマは、Android 13を搭載したタブレット端末の新製品を3月25日から順次発売する。コンシューマー向けには白物家電で知られる同社だが、タブレット端末の販売強化で黒物家電事業の拡大につなげる。タブレット端末の累計販売台数として、3年後に約3倍の成長を目指している。

タブレット端末の新製品を発売

「引き算」と「選択」がコンセプト

同社が黒物家電に本格参入したのは2019年。同年に「音声4K対応液晶テレビ」、20年に「AIオート機能4Kチューナー内蔵液晶テレビ」を発売した。タブレット端末を販売したのは、その翌年となる21年となる。

同社が開発でこだわっているのは、機能を「シンプル(Simple)」、価格を「リーズナブル(Reasonable)」、品質を「グッド(Good)」の「S・R・G」。消費者にとって分かりやすく、値ごろ感があり、良質で便利な製品を目指している。加えて、黒物家電では「引き算」と「選択」がコンセプト。必要十分な機能で価格を抑え、使いやすさを追求している。

今回のモデルは、タブレット端末における購入のハードルを下げた製品に仕上げている。エントリーモデルとして8インチの「TE084M4V1-B」と10.1インチの「TE104M4V1-B」、ミドルクラスとして8インチの「TM083M4V1-B」と10.1インチの「TM103M4V1-B」、そしてAndroidタブレットとして大型の15.6インチ「TM153M6V1-B」と5機種を用意した。

TE084M4V1-BとTE104M4V1-Bは価格がオープンで、実勢価格がTE084M4V1-Bで2万1000円前後、TE104M4V1-Bで2万2000円前後。Unisoc T606(8コア)、4GBメモリ、64GBストレージ、8インチもしくは10.1インチ1280×800ドット液晶などを搭載し、値ごろ価格で必要十分な機能が使えるモデルとなる。発売日は、TE084M4V1-Bが4月1日、TE104M4V1-Bが4月15日となる。

TE084M4V1-B(左)とTE104M4V1-B

TM083M4V1-BとTM103M4V1-Bは、MediaTek MT8781(8コア)、4GBメモリ、128GBストレージ、8インチもしくは10.1インチ1920×1200ドット液晶などを搭載し、ストレスなく動画視聴したいユーザーにおすすめだ。実勢価格は、TM083M4V1-Bが2万9000円前後、TM103M4V1-Bが3万2000円前後となる。どちらも、3月25日に発売だ。

TM083M4V1-B(左)とTM103M4V1-B

TM153M6V1-Bは、MediaTek MT8788(8コア)、6GBメモリ、128GBストレージ、15.6インチ1920×1200ドット液晶などを搭載し、オンライン会議や複数人での画面シェア、「ながら試聴」などに適している。実勢価格は7万9000円前後に設定している。発売日は5月15日を予定。なお、オプションとしてスタンド「IST-A151A-B」(実勢価格は5900円前後)も新たに用意し、4月8日に発売する。

TM153M6V1-B
IST-A151A-B

EC以外の販路も模索

同社では、タブレット端末の累積販売台数が21年の発売から23年までで、約3倍に増えているという。この状況を踏まえて、累積販売台数が3年後の27年時点で現状よりも約3倍の販売台数に成長すると捉えている。小型家電事業部の加藤泰史・統括事業部長は、「今の販売チャネルはECが中心だが、今後は他の販路も開拓していく」方針を示しており、家電量販店などと交渉を進めているという。

加藤泰史統括事業部長

タブレット端末の販路が増えれば、黒物家電事業全体の拡大にもつながる可能性を秘めている。今後の取り組みに注目だ。(BCN・佐相彰彦)

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