「そろそろステ2をポチッ…」ちょっと待った!中古ドライバー購入前の注意点とは

ドライバー選びに重要なのがロフトの大きさ

最新モデルのテーラーメイド「Qi10」、キャロウェイ「パラダイムAiスモーク」が新春から話題だ。そこで手を出したくなるのが直近の旧モデル。「ステルス2」や「パラダイム」などを中古で狙いたいと考える人も少なくないだろう。今回は、ドライバーを中古購入する際の注意点(ロフト、ライ、シャフト…)をまとめた。

ロフト選びが超!大事 「飛ばしの三要素」に直結する

「飛ばしの三要素」をご存知だろうか?ボール初速、打ち出し角、スピン量によって飛距離は決まってくる。その全てに影響を及ぼすのがロフト角。「ボール初速に影響あるの?」と思う人も多いだろう。実は、ロフト角の少ないほうがインパクト時のエネルギーロスが減るため、ボール初速は出やすくなる。つまり、少ロフトのほうが飛ばす効率は良いといえる。

では、単純にロフト角の少ないヘッドを選べばいいのかというと、そうでもない。一定の打ち出し角が保てないと、ボール初速が上がったとしても飛距離は伸びないからだ。ヘッドスピード(以下HS)によって理想的な打ち出し角は変わり、HS40m/s前後だと15、16度。HSがそれよりも遅い場合はさらに1、2度高く、逆に速ければ1、2度低くが目安となる。打ち出し角はヘッドの入射角とロフト角によって決まる。入射がアッパーだとロフト角が少なくても打ち出し角は上がるが、ダウンブローだとロフト角が少ない場合、打ち出しは上がらない。つまり、自分のヘッド入射のクセを見ながら、一定の打ち出し角が確保できるロフトを選ぶ必要があるのだ。

コリン・モリカワのドライバー。ロフト8度をネック調整でロフトを増やしている(撮影/服部謙二郎)

さらに入射角とロフト角は、飛ばしの三要素であるスピン量にも大きな影響を与える。入射角がアッパーだとスピン量は減り、ダウンブローだとスピン量は増える。また、ロフト角が多いとスピン量が増え、ロフト角が少ないと減る傾向にある。安定したスピン量(HS40m/sで2500rpmといわれる)を出す意味でも、入射とロフトのほどよいバランスが大事になるのだ。

今回、購入の目玉である「ステルス2」や「パラダイム」のような低スピンドライバーは、低重心化することで打ち出し角を上げ、スピン量を減らすことを狙っている。ヘッドの特性を生かす意味では、ロフト多めなヘッドを選んで打ち出し角を上げ、一定のスピン量を確保するほうが安定するはず。ただし、「安定より飛距離優先派」のゴルファーは、敢えてロフト角の少ないヘッドを選んで“攻める”のもアリだ。

また、ロフト角によってつかまり具合も変わってくるのは覚えておきたい。例えばパラダイムシリーズで、一番ボールがつかまって上がりやすい「パラダイムMAX FAST」を選ぶとしても、ロフト角が8度(発売されていないが)だと話は変わる。ボールは上がりづらく、つかまりにくくなるからだ。クラブの特性はモデルとスペックの掛け合わせで決まり、難しいモデルでもロフト角大きめの10.5度を選べば、ボールは上がりやすく、つかまりも改善される。

ロフトを増減するときはフェースの開閉具合もチェックしよう

可変スリーブによってロフト角も調整できるが、その際にはフェース角、ライ角も変動するから注意が必要だ。基本的に、ロフト角を増やすとフェースは閉じる。ロフト角を減らすとフェースは開く。ドライバーのようなロフト角が少ないクラブは、ライ角が変わっても球筋にほとんど影響は出ない(ウェッジなどロフトがあるクラブに比べて)。ライ角は見た目の違和感がなければ気にしなくてよい。

ドライバー選びの根幹は「シャフト選び」

シャフト選びはクラブ選びを成功させる上で、いちばん大切なポイントと言いたい。しかし我々がドライバーを買い替えるたびに、シャフトも変わってしまうことがほとんど(純正シャフトを選ぶことが多いので)。もちろん純正シャフトは、ヘッドとの相性を考えて作られているが、ゴルファーとの相性となるとまた別問題。クラブを買い替えるたびにシャフトが変わることは、意外とリスクが有ることを理解している人は少ないのが現実だ。

筆者の周りのギア情報を扱う仕事をしている人で、普段から純正シャフトを使う人はほとんどいない。お気に入りのシャフトを何種類か持っていて、新しいヘッドはそのカスタム用シャフトで試打をし、実際にヘッドを購入するかどうかを決めている。純正シャフトで自分のベストになる可能性は少ないからだ。

清本美波は新しいシャフトに替えたが、前シャフトとスペックを合わせてからテストした(撮影/服部謙二郎)

中古でドライバーを選ぶときは、純正シャフト装着モデルを購入し、“カチャカチャ”でお気に入り仕様にリシャフトすることをお勧めしたい。そうすれば違和感なくスイングもでき、単純にヘッド性能の違いだけを感じることができる。

各メーカー、毎年モデルチェンジをしているが、そのモデル構成は変わらず、難度別に複数のモデルを用意している。似たような難度のヘッドに買い替え、シャフトも同じ傾向のモノを挿した場合、相性が悪くなることは少ないだろう。長さも変わらないので違和感を覚えることもない。フィッティングや試打などで相性の良いシャフトを見つけ、中古でお気に入りのシャフトを購入しておけば、「シャフトが合わない」リスクは減らせる。中古でドライバーを買う前に、自分のスイングに合う“マイシャフト”を選んでおきたい。

巷の噂や情報に惑わされず、しっかり試打をしてシャフトも妥協しないこと。そうすれば「このモデルはダメ」ということはきっとなくなる。イマドキ“飛ばないドライバー”など存在しないのだ。(文・田島基晴)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン