正社員の平均年収「523万円」だが…日本で「“金持ち”になる人」の切ないリアル

(※画像はイメージです/PIXTA)

『令和4年分 民間給与実態統計調査』によると正社員全体での平均給与は523万円です。これを多いと感じるでしょうか、少ないと感じるでしょうか。本記事では「日本人のお給料事情」について見ていきます。

年収1億円のユーチューバーは金持ちか?

就いている職業にどれくらい将来性があるか、そして安定しているかによって、自身が生涯、労働で稼ぐであろう賃金の額は変わってきます。実際に金融機関も、多額の融資をする際には、「将来性」「安定」の観点から判断します。

それでは、どのような職業が、将来性があり安定していると判断されるのでしょうか。一部上場企業の正社員……を想像する人は多いかもしれませんが、現実はそうでもないようです。

“従来、金融機関からの評価が高い職業としてよく挙げられていたのは、公務員、一部上場企業の正社員、医師でした。これらの職業ならば年収の10倍程度まで借りられることが珍しくなかったのです。10倍ということは、年収500万円ならば5000万円の物件を買えるということです。

ところが昨今、正社員のほうは怪しくなってきました。景気の低迷が続いた結果、収入が上がらないうえにボーナスも出ない事例が頻発したからです。”『なぜ消防士は不動産投資に向いているのか?』より

「安定の公務員」という言葉は昔から耳にします。将来性という意味で、流行りのユーチューバーはどうでしょう。年収が1億円であっても、融資という意味では厳しいとの話もあります。

“銀行は、年収1億円のユーチューバーより年収500万円でも安定した収入がある公務員のほうにお金を貸したがります。ユーチューバーの来年の年収は誰も予測できないからです。”『なぜ消防士は不動産投資に向いているのか?』より

たとえ年収1億円あっても、それが次の年も続くかどうかはわからないという判断なのでしょうか。とはいえ、年収1億円のペースで約2年半稼ぎ続けることができれば、それだけで2億5,000万円。前述した平均生涯賃金2億4,000万円を軽く1,000万円超えてきます。もちろん税金で持っていかれる分はありますが、それでも金融機関から融資を受けずとも、ある程度大型の投資案件に手を出せる額ではあります。

年収1億円の医師は金持ちか?

高収入の職業というと、他には「医師」を思い浮かべる人もいるかもしれません。医師は確かに他の職業と比べると高収入で、平均年収はおよそ1,200万円と言われています。生涯賃金でいうとおよそ4億8,000万円です。前述した日本人の生涯平均賃金と比べると、約2倍となります。

やはり高収入とは言えますが、平均年収ベースで見ると、年収1億円ユーチューバーとは瞬発力で見劣りします。しかし、医師でも開業して院長となり、クリニックを成長させれば、年収1億円に届かないことはありません。このケースでは、ユーチューバーよりも持続性のある安定した収入が見込めると判断できるでしょう。

開業医の平均年収は約2,500万円と言われますので、年収1億円は一握りの成功例です。また、開業すること自体も資金が必要であり、ハードルが高いものです。「年収1億円の医師」は安定で将来性もあり金持ちではありますが、そこに到るまでに、「そもそも金持ち」だった可能性はかなり高いです。

安定の公務員は金持ちか?

結局、いくらを何年稼げるか……という問題になってきます。高い年収をキープするのは大変ですが、稼いでいるときはそれが続くと考えて、支出も見合ったものになりがちです。支出の大きな割合を占める家賃や住宅ローンなどの「住」の部分は、収入が突然減ったとしても、簡単に減らすことはできないものです。

リーマンショックなどで経験済みの人も多いかもしれませんが、会社員であっても、収入の減少は不景気等により突然起こることはあるものです。また、定年をラインに、多くの人は年収が減少します。そこで「安定の公務員」が頭に浮かぶかもしれませんが、実は公務員にもリストラのリスクはあるのです。

“主なものだと、1985年の日本電信電話公社からNTT、1987年の日本国有鉄道からJR、2010年の社会保険庁から日本年金機構などがあり、民営化後、子会社に転籍させるなどといった措置が行われました。

社会保険庁から日本年金機構への移行では、525人の公務員が分限免職となりました。分限免職された職員のうち71人は人事院に審査請求をしています。その後、審査請求をした71人中、25人が免職を取り消され、職場復帰しました。つまり500人は解雇されたのです。”『世界一わかりやすい「公務員」の不動産投資塾』より

年収1億円ユーチューバーよりも、金融機関からは信用される「公務員」ですが、絶対に安泰とは言えないワケです。そして、年収1億円の医師は「そもそも最初から金持ちだった」可能性が高いという、なんとも切ないリアルでした。

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