セバスチャン・ベッテルが『ポルシェ963』の耐久テストに参加へ。ル・マン初参戦へ一歩前進

 3月22日、ポルシェは4度のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルが、同社のLMDhマシン『ポルシェ963』をテストしたことを発表。あわせて来週スペインで行われる36時間耐久テストに元F1王者が参加することを明らかにした。

 レッドブルF1チームとともに一時代を築いた36歳のベッテルが、かねてより興味があることを明言していたスポーツカーレース、とくにル・マン24時間レースのグリッドに一歩近づいた。

 ポルシェによると、ベッテルは3月14日(木)にドイツ、マンハイムにオープンしたポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの最新ファクトリーでチームのクルーと会い、特別な機能や複雑な制御システムを学習した。翌日、シミュレーターでプロトタイプカーのドライブを経験。さらに21日にはヴァイザッハにあるR&Dセンターの社内テストコースで、ポルシェ963の実車を初めてドライブしたという。

 昨季2023年からWEC世界耐久選手権と北米スポーツカーシリーズのIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦しているポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、IMSAの2024年シーズン開幕戦デイトナ24時間とWEC第1戦カタールでの総合優勝に続き、この成功体験を6月のル・マン24時間につなげるべく準備を進めている。その一環として、このワークス部隊は来週、スペインのモーターランド・アラゴンで36時間におよぶ耐久テストを計画しているが、このテストプログラムに参加する6名のポルシェ・ワークスドライバーとともにベッテルの名がドライバーリストに加えられた。

ポルシェ963にコクピットに収まったセバスチャン・ベッテル

「ポルシェ963をテストするのを楽しみにしている。ヴァイザッハでのロールアウトで、すでにクルマの感触はつかめた」とベッテルは語った。

 2月に公開された2024年ル・マン24時間レースの暫定エントリーリストにおいて、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツはレギュラーの2台に1台を加え、計3台のワークスカーを走らせることが明らかになっているが、3台目のマシンを共有する3名のドライバーはマシュー・ジャミネを除いてTBC(確認中)となっている。ゼッケン4番を掲げるこの『963』にベッテルが乗り込む可能性は否定できないが、彼は現時点では決まっていないと述べた。

「僕はつねに他のレースシリーズを追いかけてきたが、耐久イベントへの好奇心が(今回のチャンスを)後押ししてくれた」

「今はアラゴンでのロングランに興奮しているし、ステアリングを握る時間を楽しみにしている。間違いなく調整と慣れが必要だけど、チームのみんなはとてもオープンで、僕を助けてくれる」

「これは僕にとっては新しい経験になるだろう。この点に関しては、今後どうなるかを見ていくことになる。今のところ将来のさらなる計画はない」

 近年のWECでプロトタイプカーをドライブしたF1チャンピオン経験者には、トヨタでル・マンを2度制したフェルアンド・アロンソと、バイコレスのノンハイブリッド・ハイパーカーをドライブしたジャック・ビルヌーブ、今季ハーツ・チーム・JOTAに加わりプライベーターに供給されたポルシェ963を走らせているジェンソン・バトンがいる。

 ポルシェ・モータースポーツのトーマス・ローデンバッハ副社長は、「セバスチャン・ベッテルが私たちのポルシェ963に興味を持ってくれたことをうれしく思う」と語った。

「テストの機会を与えてほしいという彼の要請を支持し、我々のハイブリッド・プロトタイプを運転するための広範な準備と充分な時間を提供することに、私たちが興奮することは疑いの余地がなかった。彼の貴重なフィードバックから多くを学ぶことは間違いない」と同氏は続けた。

 3月終わりにあたる来週、アラゴンで実施される耐久テストにベッテルとともに参加するドライバーは、マット・キャンベル、ミカエル・クリステンセン、フレデリック・マコウィッキ、ケビン・エストーレ、アンドレ・ロッテラー、ローレンス・ファントールの6名だ。

ドイツ、マンハイムに位置するポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのヘッドクォーター
WECに参戦している6名のポルシェ・ワークスドライバーとともに36時間テストに参加することが決まったセバスチャン・ベッテル
参戦2年目のシーズン開幕戦でWEC初優勝を達成したポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ6号車) 2024年WEC第1戦カタール1812km
セバスチャン・ベッテルは3月21日、ヴァイザッハのテストコースでポルシェ963を初ドライブした

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