あの苦味やえぐみには名前があった!春野菜を賢く味わいつくすコツを野菜ソムリエが解説

菜の花やタケノコ、そして山菜の仲間など、春に旬を迎える野菜には独特に苦味やえぐみがありますよね。
じつはこういった苦味やえぐみには、ひとつずつちゃんと名前があり、体にうれしい効果のある栄養素たちです。

でも、苦すぎるのは食べづらいし、できるだけ苦味を避けながら、うまい具合に栄養素のプラスの部分を利用したいところ。
今回は、野菜ソムリエ・気象予報士・防災士の資格を持つ植松愛実さんが、春野菜を賢く味わいつくすコツを解説します。

じつはポリフェノールの仲間!ふきのとうの「フキノール酸」

ふきのとうの苦味成分を構成するのは、「フキノール酸」などのポリフェノールの仲間の物質です。
ポリフェノールは皆さんご存じのとおり、抗酸化作用があり、腎臓や肝臓の機能を高めてデトックス効果が期待できたりと、うれしいことが多い栄養素。

とはいえ苦すぎるふきのとうはちょっと…という人が多いと思いますので、お店でふきのとうを買うときは、つぼみの先端ができるだけ開いていないものを選びましょう。
つぼみが閉じている状態のものを買ってきて、天ぷらなど調理に使う際に手で優しく開くのがおすすめです。

食べ合わせでえぐみを減らそう!タケノコの「チロシン」

タケノコには独特のえぐみがありますが、その正体は「チロシン」という栄養素です。
疲労回復や、自律神経をととのえるのに役立つ物質で、ストレスの緩和にもつながると考えられています。

ただ、いくら体によい物質でも、えぐみが強いのは何とかしたいですよね。
そこで、カルシウムを多く含む食材といっしょにとると、えぐみを感じにくくなるのでおすすめ。

カルシウムが豊富な食材で、タケノコといっしょに調理しやすいのは、わかめや油揚げなど。
タケノコの定番料理のひとつに、わかめといっしょに煮る「若竹煮」がありますが、じつは理にかなった食べ合わせだったのですね。

春にぴったり!菜の花の「イソシアネート」

菜の花に代表されるアブラナ科の野菜には、「イソシアネート」という辛味成分が含まれています。
菜の花は単に苦いというより、ちょっとツンとした苦味と辛味の間のような味わいがありますが、これは「イソシアネート」を含むため。

「イソシアネート」は前述のポリフェノール同様、抗酸化作用や免疫力アップに優れているほか、新陳代謝を高めてくれるので、体の機能が落ちやすい春にぴったりの栄養素です。

菜の花の苦味は油といっしょにとることで感じにくくなるので、肉(豚・牛・鶏ともに相性OK)といっしょに炒めたり、ごま油を使ったナムルにしたりして、苦味をおさえながら栄養をいただきましょう。

ちょっと食べにくいかも?という春野菜も味方に!

春野菜は独特の風味があり、ちょっと食べづらく感じる人もいるかと思いますが、選び方や調理法を工夫することでぐんと食べやすくなります。

春にぴったりの栄養素もたくさん含まれているので、ぜひ春野菜を味方につけて、おいしく健康にすごしたいですね。

■執筆/植松愛実…身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。
編集/サンキュ!編集部

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