保育園でおやつ後に6カ月女児が急変、40日後に死亡 「リンゴで窒息の可能性高い」検証委が報告書提出 姶良

姶良市の認可保育所で女児が死亡した事故の検証委員会報告書について説明する伊東安男委員長=22日、姶良市加治木

 鹿児島県姶良市の認可保育所「興教寺保育園」で2023年4月、6カ月の女児がおやつ後に急変し、約40日後に死亡した事案を受け市が設置した検証委員会は22日、報告書を市に提出した。急変した直前に摂取したリンゴについて「窒息の原因となった可能性が高いと考えられる」と指摘した。

 検証委の伊東安男委員長(市保育協議会長)は提出後に会見を開き、検証は「リンゴを誤嚥(ごえん)して窒息状態になった」という仮定で進めたと説明。今回の事案での離乳食に関する問題点として「リンゴの調理方法・提供」「保護者との連携」などを挙げた。誤嚥について「原因の確定は難しい」とした。

 再発防止に向けては、リンゴを与える時には「離乳食完了期まで加熱する」と促す国の指針を含む「ガイドラインの共有・順守」といった七つの提言をまとめた。

 市役所加治木総合支所で、伊東委員長が湯元敏浩市長に手渡した。湯元市長は「全ての施設に共有して、保護者が安心して預けられるように取り組む」と述べた。市によると、報告書はA4判約60ページ。遺族には同日午後に届けた。公表は概要版のみで、詳細は後日開示する。

 同園では23年4月18日午後、女児にすりおろした生のリンゴを与えた後あおむけに寝かせたところ急変、意識不明の重体となった。5月28日に死亡した。遺族の代理人弁護士によると、死因は、誤嚥し窒息状態になったことが原因とみられる多臓器不全。検証委は6月に市が設置、弁護士や栄養士ら6人が委員を務め、10回開催した。

 報告書を受け、女児の遺族は「全体的に遺族の立場から検証していると感じた。報告書の提言を活(い)かし、二度と同じような事故が起こらないようにしてほしい」とのコメントを出した。

 姶良署によると、今回の事案については捜査中。

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