両陛下朝市で黙礼 輪島、珠洲の避難所回り励ます

大規模火災で大半が焼失した輪島朝市で黙礼される天皇、皇后両陛下=22日午後1時35分、輪島市河井町

 天皇、皇后両陛下は22日、能登半島地震の被災者を見舞うため、被害の大きかった輪島市と珠洲市を日帰りで訪問された。大規模火災で大半が焼失した輪島市の輪島朝市と、津波に襲われた珠洲市の飯田港では黙礼し、犠牲者を悼んだ。地震発生から間もなく3カ月を迎える中、今も避難生活を余儀なくされている被災者と面会。「おけがはなかったですか」「こちらでの生活はどうですか」などと気遣い、励まされた。

  ●食事を持参

 両陛下の石川入りは、国民文化祭に合わせて金沢市などを訪れた昨年10月以来で、能登入りは即位後初めてとなる。

 この日午前、両陛下は羽田発の特別機で能登空港に到着、馳浩知事、県警本部の細田正本部長の出迎えを受けた。馳知事から被災状況を聞いた両陛下は、被災地の負担にならないようにと持参した食事を空港で取った。その後、自衛隊ヘリで輪島市に移動した。

 輪島朝市では、先導役を務めた坂口茂市長から「240棟が火災に遭い、15人が亡くなった」と説明があると、黙礼して哀悼の意を示した。坂口市長によると、焼け残った建物や輪島塗について質問し、市内で漆器関係者の約8割が被害を受けたとの話に耳を傾けた。約100人が生活する輪島市ふれあい健康センターで被災者と面会した。

 その後、ヘリで珠洲市に移り、約80人が身を寄せる緑丘中では泉谷満寿裕市長から状況を聞き、被災者と懇談した。津波の被害に遭った飯田港を視察し、海に向かって黙礼した。午後7時50分過ぎ、能登空港から特別機で帰京した。

 両陛下が発生間もない被災地に足を運ぶのは台風19号などで被害が出た宮城、福島両県を訪問した2019年12月以来となった。

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