大分トリニータ ポジティブオーラ全開の守護神・浜田太郎 【大分県】

大分トリニータの「新守護神」が急成長を遂げている。開幕戦から5試合で3失点、そのうち3試合を無失点で抑えているGK浜田太郎だ。昨季は武者修行としてJ3のAC長野パルセイロに期限付き移籍して10試合に出場し、今季は大分に復帰した。189cm、86kgのサイズを活かしたセービングで、先発定着に向けて猛アピールを続けている。

今季はチームの始動直後から調子は良かったが、精神面での成長が大きかった。J3の厳しい環境で1年過ごしたことでサッカーへの意識が変わった。浜田は「J3ではクラブハウスがなく、練習場が毎日変わるチームは多い。練習着は自分で洗濯し、アウェーの試合はバス移動が多く、半日かけて行くこともあった。初心に戻れた」と述懐する。大分の恵まれた環境が当たり前でなかったことを経験し、今はきつい練習も、自分から明るい雰囲気をつくり、楽しめるようになった。

毎試合ファインセーブでチームを救う浜田太郎

身にまとうポジティブオーラが全開だ。開幕戦では、西川幸之介の体調不良で試合1時間前に先発出場が決まったときも「チャンス到来」と受け止めた。自分のミスから失点した後は、さすがに落ち込んだようだが、「次で挽回すればいい」と気持ちを切り替えた。2節・横浜FC戦ですぐにチャンスがくるあたり、持ってる感がある。相手のPKを止め、チームのピンチを救った。片野坂知宏監督は「あのPKを止めた試合から自信をつけた。安定感が増した」と浜田の成長に目を細める。

抜群のシュートストップとハイボール処理の精度を高め、パンチングも、誰もいないスペースに飛ばせる技術と視野が広がった。浜田は「GKは経験を重ねるほど良さが出る。試合に出続けることが重要」と手応えを感じている。一つのミスも許されない常に重圧を背負った過酷なポジションも、今では最高の見せ場をつくれるという認識に変わった。5試合を終えての自己採点が100点満点中45点と低めなのは、「ゴール前に立っているだけで威圧感というか、ゴールできないと思わせるキーパーになりたい」との思いが強いからだ。気持ちが変われば、プレーも変わる。厳しい環境で1年過ごし、周囲のサポートが身に染みた守護神の感謝のプレーが、好結果を生み出している。

好調を維持し、先発定着を狙う

(柚野真也)

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