森山直太朗「歌っている感覚さえ忘れてしまうくらい、無重力な時間でした」――「地球の歩き方」マオリの聖地への思いを明かす

テレビ大阪・BSテレ東で放送中の真夜中ドラマ「地球の歩き方」。海外旅行のバイブルとして長年愛されているガイドブック「地球の歩き方」とコラボレーションしたドラマで、ガイドブックの編集部から“特集ページを作ってほしい”と依頼を受けた芸能人ライターたちが、現地スポットを自らの足で巡りながらその国の新たな魅力を発見し、オリジナルの特集ページを完成させていくさまを描きます。

3月16日、23日、30日の放送回には森山直太朗さんが登場! ニュージーランドへ向かい、キャンピングカーで先住民であるマオリの聖地(オークランド~レインガ岬)を巡ります。ということで、そんな森山さんに、現地での歌唱シーンをはじめとしたさまざまな裏話や、森山さんおすすめの番組の一番の見どころなどをお伺いしました。

――今回のニュージーランドの旅では、ご自身の曲を歌われるシーンもあるとのことですが、実際に歌われてみていかがでしたか?

「毎回状況は違ったのですが、特に第11話(3月23日放送)のノマドフェアで歌った時がとっても気持ちよかったです。すごく開放的な場所だったので、その雰囲気が、自分がデビューする前に公園や駅前で歌っていた感覚を思い出させてくれました。当時から22年たちましたけど、またあの同じ場所に自分がいるみたいな…不思議な感覚と、懐かしい気持ちになりましたね」

――国は違えど、デビュー当時の気持ちを思い出された瞬間だったんですね。

「そうですね。第12話(3月30日放送)の、マオリの方の前で歌った時はもう少し違った感覚で。ただ木々がざわめく歌がそこにあるような、曲自体が言葉を超えた一つの響きになっているように感じました。僕も歌っている感覚さえ忘れてしまうくらい、無重力な時間でしたね」

――日本のライブ会場のステージ上で歌われるのとは全く違う感覚でしょうか?

「違いましたね。いつも歌っているような曲を歌わせてもらったんですけど、それでも『一緒にいる人や環境が変わるだけで、自分から発信されるものも全然違うんだな』という発見がありました」

――現地では、特別に何か意識されながら歌われていたのか、それともいつもと同じ歌い方だけど、歌う環境によって自然と歌い方も変わってきたのか、どちらでしたか?

「後者かもしれないですね。普段の僕にとって“歌う”という行為は、どうしても仕事という感覚があるんです。でも、今回の旅では、お互いの自己紹介をする時に、まずマオリの方が僕たちを歓迎してくれる意味を含めて歌ってくれたり、自分が作った食べ物を交換したりという、とても土着的で人間くさい交流をしたんですよね。それによって、相手がどういう人間で、どういう感性なのかという警戒や疑いがなくなるからすごいなと思いました。人間ってどうしても、人や国同士で線を引いてしまうじゃないですか? それはしょうがない部分でもあると思うんですけど。だけど、マオリの方々は、今お伝えした交流や、鼻と鼻を押し当てるホンギというあいさつで、その線を少しでもなくせるようにしているんですよね。だから僕も、行為や仕事ではなく、あいさつの延長みたいな感じで無意識に歌っていた感覚でしたね」

――それは、この番組でしか見られない森山さんの貴重な姿ですね。

「テレビ番組の収録で歌う時は、やっぱり撮られている意識があるじゃないですか? でも、マオリの聖地で歌った時は神聖な場所だったし、撮影も終わりの方だったから、誰かから見られているという感覚もない中で歌っていたんですよね。だから、どんな映像になっているかは分からなくて。めちゃくちゃ恥ずかしいかもしれない(笑)」

――歌われるシーン、とても楽しみです! 今回の旅で一番大変だったことと、逆に一番楽しかったことを教えてください。

「移動が一番大変でしたね。ドラマだと3回にまとまっているから、すぐにその場に着いて、そこの人と出会ってというふうに見えるんですけど、実際は目的地に着くまで5~6時間かかることもざらにあったので、皆での移動は楽しかったですけど、結構大変な面もあったなと思います。一番楽しかったのは、現地の人とのコアな交流ができたことかな。今回、新井英昭さんというコーディネーターの方が、娘のなつきさんと2人でガイドしてくれたんですね。ドラマにはほとんど映っていないと思うんですけど、その人たちが先導してくれて、いろいろ連れていってくれたんですよ。僕から見ると、現地の方々との出会いも本当に刺激的だったんですけど、日本人の新井さんが、日本を離れて、ニュージーランドで生きてこられて、今回の旅で娘さんと一緒にわれわれをアテンドしてくださっているその後ろ姿を見た時に、自分の中でいろいろと感じることがありましたね」

――皆さんとの出会いがあったからこそ、感じられたことがたくさんあったんですね。

「そうですね。でも、マンツーマンでハカの練習をしてくれたマオリのおじさんがいらっしゃったんですけど、あの時だけはすっごく怖かった…(笑)。ハカって舌を出す決めの表情が大事らしくて、振りを間違えるのはいいんだけど、その決めの表情を照れていたりとかすると、『照れるな!』ってすごく怒られるんですよ(笑)。それが大変でした」

――舌を出す表情は、大事な決め顔なわけですね。

「そう、ハカの最後の決め顔なんです。それが決まらないとお話にならないみたいな(笑)。ちょっと面白い顔をしたりすると全く違うらしく、めっちゃ怒られるんですよ。心の底からの感情を出しての決め顔みたいで、そこはすごくこだわられていましたね」

――ハカの決め顔が一番の見どころということで(笑)。

「かなり追い込んでやったので(笑)。本場の方々の表情にも見劣りしないような決め顔になっているんじゃないかな。だから、視聴者の皆さんにもぜひ楽しみにしていただきたいですね!」

【プロフィール】

森山直太朗(もりやま なおたろう)
1976年4月23日生まれ。東京都出身。シンガーソングライターとして2002年にメジャーデビュー以来、コンスタントにリリースとライブ活動を展開し続けている。近年では俳優としても活動し、主な出演作にNHK連続テレビ小説「エール」、「うきわ―友達以上、不倫未満―」(テレ東系)などがあり、多方面で活躍している。20thアニバーサリーツアー「素晴らしい世界」<番外編>の上海公演を4月13日、台北公演を4月27日に開催。

【番組情報】

真夜中ドラマ「地球の歩き方」
テレビ大阪
土曜 深夜0:55~1:25
BSテレ東
土曜 深夜0:00~0:30

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当)

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