“桜開花”目前も…昨年は大企業の「無人場所取り」が物議 露出、放火、置き引き…花見に現れた「不届き者」事件簿

昨年東京では3月14日に桜が開花した(弁護士JP編集部)

桜の開花を今か今かと心待ちにしている人は多いのではないだろうか。日本気象協会が19日に発表した予想によると、23日に福岡、24日に東京、京都、25日に大阪が開花予定となっている。

辺り一帯がピンク色に彩られる風景は見る人の心を解きほぐすが、花見スポットには楽しげな雰囲気に紛れて“不届き者”が現れることもある。

“御用”になったトンデモ花見客

【下半身露出で59歳アルバイトの男逮捕/兵庫】

神戸市内の公園で昨年4月、ズボンのチャックを下して下半身を見せたとして、アルバイトの男(当時59)が公然わいせつの疑いで逮捕された。時刻は13時前。白昼の公園は花見客でにぎわっており、下半身を露出している男に気づいた女性が110番したという。

公然わいせつ罪で有罪になった場合、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられることとなる。

【花見用のゴミ集積所に放火で56歳男逮捕/東京】

一昨年4月、上野公園で花見シーズンに設置されていたゴミ収集所に放火したとして、無職の男(当時56)が建造物等以外放火の疑いで逮捕された。男は上野公園内で暮らす路上生活者だったという。

建造物等以外放火罪とは、自動車、バイク、公園の遊具などに放火し焼損させ、公共の危険を生じさせた際に成立する犯罪。他人の所有物に放火すれば1年以上10年以下の懲役、自分の所有物に放火すれば1年以下の懲役または10万円以下の罰金となる。

【花見帰りに飲酒運転で23歳男逮捕/福岡】

一昨年3月、久留米市の交差点で呼気から基準値のおよそ3倍のアルコールが検出されたとして、当時23歳の男が逮捕された。男は公園で同僚と花見をした帰りだったという。

飲酒運転には「酒気帯び運転」 「酒酔い運転」の2種類があり、酒気帯び運転の場合は呼気1リットル中のアルコール濃度0.25mg以上で免許取り消し(2年)、呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満で免許停止(90日)、さらにいずれの場合も「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となる。

また事故を起こしかねないほど酔った状態で運転すれば、酒酔い運転としてアルコール値に関係なく「免許取り消し(3年)」と「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が命じられる。処罰は本人だけでなく、車両や酒類を提供した人、同乗者にも及ぶため、注意が必要だ。

さらに事故を起こせば、「自動車運転過失運転致死傷罪」(7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金刑)、「危険運転致死傷罪」(被害者がケガをした場合は15年以下の懲役、被害者が死亡した場合は1年以上の有期懲役)となり、文字通り取り返しのつかないことになる。

【花見客のかばんを置き引きした大学生逮捕/京都】

2010年4月、京都市東山区の円山公園で花見客のかばんを置き引きしたとして、当時19歳の男子大学生2人が窃盗容疑で逮捕された。

窃盗といえば軽微な犯罪に聞こえるかもしれないが、法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」となっており、最長10年にわたって刑務所に収監される可能性もある。

場所取りで“炎上”した大企業も…

“御用”とはなっていないものの、昨年は東京都で大手企業の社員がレジャーシートを敷き無人で場所取りをしていたとしてSNSで物議をかもした。さらに数年前には、神奈川県でも別の大企業が花見の数日前からレジャーシートを広げて場所取りし炎上騒ぎとなっている。

桜の見ごろは1年のうちごくわずかのため、存分に満喫したい気持ちはよく分かる。しかし、ひとりよがりな考えで“暴走”すれば、大きな代償を払うことになるだろう。気持ちのよい年度初めを迎えるためにも、マナーを守って楽しむべきなのはいうまでもない。

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