『涙の女王』キム・スヒョン&キム・ジウォンの愛が再燃する 第5次韓流ブームを牽引中

3月9日よりNetflixで配信中の『涙の女王』の快進撃が続いている。本作は、キム・スヒョン&キム・ジウォンという大人気スターがW主演を務め、『愛の不時着』の脚本家パク・ジウンの新作として放送前から話題となっていた。

物語は、キム・ジウォン演じる財閥3世のホン・ヘインと、キム・スヒョン演じる弁護士ペク・ヒョヌ夫婦の愛を描いたものだ。ヘインは、財閥クイーンズグループの中で、デパートの社長として君臨する女王だ。一方、夫のヒョヌは、地方の小さな町の長を務める父親と、町で唯一の小さなスーパーマーケットを営む家の息子だ。ヘインとヒョヌは、クイーンズグループが持つ会社で出会い、恋に落ちる。財閥家の令嬢と、田舎育ちの弁護士という格差婚は、「逆玉の輿」と揶揄され、ヒョヌは肩身の狭い思いをしている。

夫婦が結婚してから3年の月日が流れ、財閥家に婿入りしたヒョヌは、毎晩の“終礼”のような家族会議に参加することも、年に14回行われる祭祀で食事を作ることも、ヘインに執事のように使われることにも疲れきっていた。ヒョヌは、今やヘインへの愛情もすっかり消えてしまい、彼女との離婚を決意する。一方のヘインは、ヒョヌの気持ちをつゆ知らず、彼が自分に冷酷な態度をとることに悲しみを感じていた。ある晩、ヒョヌは意を決して、離婚を切り出そうとするが、先にヘインから病で余命が3カ月だと言い渡されてしまう。

物語の第3話、第4話は、ヘイン一家が狩りに出かけた先で、ヘインがイノシシに襲われ危機一髪のところをヒョヌが助けたところから始まる。ヘインは、イノシシを前に、命の危機を感じるが、その時に浮かんだのは、ヒョヌとの恋愛中の思い出だった。結婚前のふたりはとても初々しく、ヒョヌはヘインを守ろうとふたりの未来への夢を持っていた。ヘインもまた、ヒョヌの頼もしい様子に自分のそばにいてくれる人が現れたと、心嬉しく彼を愛する。

冷めてしまったと思われた夫婦関係に、ヘインの病というとんでもない事態が起こり、ふたりの関係性が徐々に変わりだした。ヘインは、自分を守るヒョヌの姿にときめきを感じ出す。ヒョヌの銃を撃つ姿が何度もヘインの脳裏に浮かんだり、ヒョヌがヘインをお姫様抱っこしたり、シャワーから出てきたヒョヌの“シックスパック”に濡れた髪……ヘインのヒョヌを見る目が「3年目の倦怠期を迎えた夫」から「ときめきを感じる男」に変わっていく。画面のこちら側にいる私たちも、ヘインと一緒にヒョヌを演じるキム・スヒョンにときめくシーンの連続だ。

一方のヒョヌは、唯一本音を言える相手である、弁護士仲間で友人のキム・ヤンギ(ムン・テユ)に、ヘインに対する思いをぶちまけていた。このヒョヌとヤンギのコメディシーンが、毎回面白くてたまらない。コミカルな演技が秀逸なキム・スヒョンが、ムン・テユを相手に、活き活きとはじけまくる。ヒョヌの本音が垣間見えるふたりの掛け合いシーンが、待ち遠しくてたまらないのだ。

最初は離婚を望み、ヘインに対して愛情がないように見えたヒョヌだが、ヤンギはヒョヌ自身も気づいていないヒョヌの心を指摘する。ヤンギは、ヒョヌに向かって「3カ月の間にヘインの心を取り戻し、ヒョヌに遺産を残す遺言書を書かせろ」と言う。「無理だ」というヒョヌに、「兵役2年に比べれば短い。冬季訓練だと思えばいい」と言ったり、愛を取り戻せないというヒョヌに、恋愛中は愛し合っていただろうと言い、さらに「たとえ数十年泳がなくても海に落ちれば泳げるはずだ、全身の筋肉が覚えてる。愛も同じだ。忘れたと思っていても心の筋肉が覚えている」と、「なるほどー!」と強く頷かずにはいられないようなことを言う。この人はなんてロマンティックで説得力のある名言を連発するのだろうか。

ヘインの前に現れた、M&Aの専門家で投資家のユン・ウンソン(パク・ソンフン)の存在も、ヒョヌに嫉妬させ、愛を再燃させるのに一役買っている。ウンソンは、ヘインと昔からの付き合いがあり、ヒョヌをライバル視しているようにも見えるが、クイーンズグループ自体の転覆を企んでいそうな気配がある。財閥家の肉親同士の骨肉の争いに加え、ウンソンや会長の愛人モ・スリ(イ・ミスク)が怪しい態度を取っていたりと、サスペンス要素も入りだし、先が気になる要素が盛りだくさんになっている。

ヘインが生きている間に財産分与を狙うヒョヌと、ヒョヌにときめきを感じるヘイン。ふたりの思惑はすれ違うが、ヘインは自分の病をきっかけに、ヒョヌが自分を心配し、守ってくれていることを感じ、忘れていたヒョヌへの愛に息が吹き込まれていく。ヘインは、これまで自分がしてこなかったことをするといい、ヒョヌにキスをする。勝気なヘインからヒョヌへのキスは、これまで抑えてきた自分の感情表現なのだろう。驚くヒョヌと、その後のふたりのどぎまぎ感にテンションが上がってしまう。

第4話ラストでは、ヘインの病が進行する中で、ヒョヌの故郷でヘインが迷子になってしまうという事態が起きた。心配して探しまわるヒョヌの様子と、見つけた後に怒る姿にヘインへの気持ちを感じる場面だ。心細く不安だったヘインは、ヒョヌが見つけてくれたことで沈んでいた心に灯が灯る。街灯が次々に点灯していく演出が、ヘインの心を表しており、ヘインの暗い心の中でヒョヌの存在が光であることがわかる。

意地を張ってしまうヘインだが、本当の気持ちをヒョヌに打ち明けたことで、ヒョヌはヘインを抱きしめる。ヒョヌは、彼女の身に起きていることと彼女の心を思い、目から一筋の涙をこぼす。

毎話のエピローグも脚本家パク・ジウンの見せ所で、本作でもエピローグで明かされる秘密にときめきを感じる仕掛けが用意されている。ヘインの不器用な思いが明かされるにつれ、筆者は涙しているのだが、そのひとつがスマホの暗証番号だ。ヒョヌとの愛の結晶を想い続けるヘインの気持ちを想像すると涙がこみ上げて来る。『涙の女王』のタイトルに込められた意味を噛みしめながら、続きを見るのが待ち遠しくてならない日々を過ごしている。
(文=にこ)

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