JFAアカデミー、育成システムは「世界基準」

本県に帰還後の初練習に臨む選手たち=22日、Jヴィレッジ

 女子選手の帰還により、双葉郡で全面的に活動を再開した日本サッカー協会(JFA)の選手育成機関「JFAアカデミー福島」。「世界基準」をキーワードとした選手育成システムが本県に全て戻り、県内のサッカー関係者は競技力向上などの波及効果を期待する。卒業生はプロや日本代表、プロチームのスタッフとして活躍しており、後輩たちは先輩らと同じ道を歩もうと夢を描く。

 Jヴィレッジには22日、アカデミー女子選手の姿があった。21日に入寮した現在の中学1年~高校2年生約30人が帰還後初の練習に臨み、汗を流した。山口隆文監督(66)は「女子ではアジアトップの育成機関。すでに各方面から視察の話もあり、指導面では良い波及効果が出て、東北の女子サッカーの底上げにつながるだろう」と期待を込めた。

 アカデミー福島はこれまで、第一線で活躍する人材を育ててきた。特に女子の活躍は著しく、2月のパリ五輪アジア最終予選では遠藤純(白河市出身)や北川ひかる(INAC神戸)ら6人が日本代表に入り、予選突破に貢献した。

 男子も3期生の小池龍太(J1横浜Fマリノス)が2022年に、アカデミー福島出身で初となる日本代表入りするなど、プロや世界で戦う選手が育っている。

 アジア屈指の育成力

 「福島が拠点のアカデミーから、代表やプロで活躍した選手が出たとなれば、県内の子どもたちはこれまで以上に身近に感じて、励みになるはずだ」。県サッカー協会の菅野貴夫会長(71)は県内への影響についてそう語る。

 女子はアマチュアのなでしこリーグ2部に参入しており、Jヴィレッジで試合が行われる。子どもたちにとっては、J2のいわきFC、J3の福島ユナイテッドFCに加えて、高いレベルの試合を間近で見られる機会となりそうだ。

 県内からは今春、女子に北信JFCの緑川真生さん(鎌田小6年)、男子に会津サントスFCジュニアの小滝音叶(おんか)さん(山都小6年)の2人が入校する。ともに日本代表入りが目標で「将来は日の丸を背負い、世界で戦う選手になりたい」と夢を膨らませる。

 卒業生からはプロ選手引退後もサッカーに携わり、活躍する人材も育っている。男子2期生の平沢俊輔さん(29)は現在、J2いわきの運営会社「いわきスポーツクラブ」で働き、チーム運営を支えている。平沢さんはアカデミー福島の全面的な活動再開を受け「震災前の状況に戻ってうれしい。後輩たちが地域と交流し、双葉郡の活性化や復興につながる存在になってほしい」と願う。

 24日にリーグの本拠地開幕戦

 アカデミー福島の女子は24日、Jヴィレッジスタジアムで、SEISA OSAレイア湘南FCと対戦する。なでしこリーグ2部のホーム開幕戦となる。午前11時試合開始予定。

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