数万円の“高額な美容院代”に、現役美容師が物申す「値段を釣りあげるべきじゃない」

あらゆるモノやサービスの値段が高騰している昨今の物価高。「美容院代」には、月々いくらかけていますか?

Sbenitez / Getty Images

イメージ画像

総務省の小売物価統計調査 によれば、2022年の東京都特別区のヘアカット代は、4091円(10年前の2012年は「3747円」)。カラーリング代は、6993円(2012年は「6417円」)。

10年前と比べて、それぞれ300円〜500円ほど値上がりしています。

国内のみならず、海外でも美容院代の値上げが話題を呼んでいます。英語圏で人気のネット掲示板Reddit では、「最近、美容院でのカット・カラー代が高すぎると思うんだけど、どうしちゃったの?」というスレッドが注目を集めました。

そんな中、ある美容師のSNS投稿が話題を呼んでいます。

@hairbymeradith / Via instagram.com

コロラド州に拠点を置くメラディス・ハミルトンさんは、業界で9年以上のキャリアを持つベテラン美容師。現在は独立し、自身の店舗を持つ経営者として活躍しています。

メラディスさんは最近、昨今ヘアサロンの価格が高くなっている要因について、自身のSNSで意見を発信しました。

動画 はこれまでに、140万回再生され、10万「いいね」を集めています。

動画の冒頭、メラディスさんは別のスタイリストが投稿した「例年よりお客さまが美容院に来なくなった」という動画 を引用しました。

メラディスさんは、その動画を解説するかたちで、昨今の美容院事情について、説明しています。

「その動画のコメント欄を見てみました。どんな意見が出ているのかと思ったら、大半が美容院を利用するお客さまの声でした」

「ほとんどのコメントが、『支払う余裕がない』『高すぎる』というものでした。ごく普通の平凡な美容院でカットをお願いしても、400〜500ドル(約6〜7.5万円)はする、と」

@hairbymeradith / Via tiktok.com

「たしかに私たちは、お客さまに提供した価値や時間に対して、お金を請求しています。当然、使ったシャンプーやカラー製品に対する料金、昨今の物価高を反映した、値上げも含まれるでしょう」

「でも、そんなに釣り上げた料金を請求すべきなのでしょうか?私はまったく賛成できません。私はお客さまとの時間、お金を大切にしたい」

メラディスさんは、近年の美容院の価格設定は「高すぎる」と続けます。

@hairbymeradith / Via tiktok.com

「もしあなたが1回で500ドルを請求したとしましょう。そのお客さまがまた来店することは、ほぼないでしょう。逆に500ドルの半分で請求すれば、また来てくれるお客さまがいるかもしれません」

「昨今の美容業界は、SNSやインフルエンサーのせいで、本来のスタイリストとは何なのか、わからなくなっているように思います」

「大事にすべきなのは、お客さまとのつながりです。500ドルを請求して1回限りになるより、再来してくれるお客さまの方がはるかに価値がある」

「お客さまを3人同時に担当したり、アシスタントに仕事を任せたり、それはスタイリストの目指すべき姿ではありません」

「私たちヘアスタイリストは、お客さまが1人の人間である、そして人間同士のつながりを望んでいるという初心を忘れてはいけないんです」

メラディスさんのまっすぐな意見には、さまざまなコメントが寄せられました。

💬「カラー代だけで300ドル(約4.5万円)請求されて、その後ブローをかけたら、追加で60ドル(約9000円)請求されたんだけど…。これって普通なの?」

💬「カットがテキトーになったことも知ったほうがいい。美容師はみんなカラーのサービスに注力していて、カットはいい加減。だからもう何年も髪を切っていません」

💬「病院に行くよりも、髪を切りに行くほうが高いんだけど👀」

💬「『リーズナブルな価格=より多くのお客さまが来て儲かる』って思考を忘れてしまったのかもね」

BuzzFeedは、メラディスさんに詳しい話を聞きました🎤

@hairbymeradith / Via tiktok.com

メラディスさんは、カットやカラー、エクステの料金に至るまで、業界全体で価格が上昇する過程を見てきたと話します。

「私は、これまで高級サロンで働いてきて、高価格のサービスが当たり前な環境に囲まれていました」

「サービスの価格が急に高くなったと感じたのは、4~5年前からです」

「価格が高騰し始めたのは、一部のスタイリストがインフルエンサーのように注目されたのが、関係していると思います」と、メラディスさんは続けます。

@hairbymeradith / Via instagram.com

「そのころ、インフルエンサー、つまりカリスマ美容師が600〜700ドル(約9〜10.5万円)のサービスを始めました。それを見た多くのスタイリストが、『私たちも』と値段を釣り上げるようになったんです」

「でもそれは、すべてのスタイリストができるわけではありません」

「幸いなことに、私たちは自分たちで値段を決められる仕事。その価格で提供されるサービスに、価値を見出すかどうかは、お客さま次第です」

「私自身は、お客さまの枠を必死に埋めようと奔走するより、リーズナブルな価格でサービスを提供したい、そしてお客様を大事にしたいと思っています。だから皆さん、何年もリピートして来てくれているんです」

「美容院の廃業に追い込まれたくなければ、一気に値上げをしないほうがいいと思います」

@hairbymeradith / Via tiktok.com

「決して自分を『安売りしろ』と言っているのではありません。ただ、あなたにとって適正な価格帯、つまりお客さまが再来店したいと思える価格帯を見つける必要があると思います」

「私は、お客さまの時間とお金を大切にしたいので、価格設定や、合計価格に含まれるすべての要素について、率直かつ正直にお伝えしています。透明性は、信頼を築くために、とても重要なことですから」

最後に🌈メラディスさんは「美容院が高くて行けない」と悩む人に向けて、こんなアドバイスをくれました。

Instagram: @hairbymeradith

「行く前に、できるだけたくさん調べてみてください。実際に美容院に連絡をとってみたり、友人から情報を得るのもいいかもしれません」

「ありえない金額設定の美容院でなくても、上質なサービスを提供してくれるスタイリストやヘアサロンはまだまだあります」

「覚えておいてほしいのは、その美容師や美容院のSNSアカウントのフォロワーが少ないからといって、質の低いサービスとは限らないということです」

「逆もしかりで、フォロワーが多いカリスマ美容師、人気サロンだからといって、必ずしも質の高いサービスとは限りません」

メラディスさんのSNSアカウントはこちら👇

Instagram:@hairbymeradith

TikTok:@hairbymeradith

この記事は英語 から翻訳・編集しました。 翻訳:髙島海人

© BuzzFeed Japan株式会社