子どもたちのSOSに寄り添って 山形・自殺予防シンポジウム

子どもたちの自殺を防ぐための教育や支援を考えたシンポジウム=山形市・山形国際交流プラザ

 県自殺予防シンポジウム「生きづらさを抱えるこどもたちのために」が22日、山形市の山形国際交流プラザで開かれた。全国と同様、本県でも10代の自殺者は増加傾向にある。県によると、2016年は1人だったが、19~22年は年間7~9人となった。支援に当たる専門家は追い詰められる前にSOSを出せるよう子どもたちに教え、身近な大人が正しく受け止める必要性を指摘した。

 20年以降、新型コロナウイルス禍による休校や行事の中止、外出自粛など子どもたちにとって不安定な状況が続いたことが自殺者数が増えた一因とみられる。県は児童生徒の自殺予防に向けた取り組みとして、専門家による「SOSの出し方教育・受け止め方教育」を小中学校で進めている。

 シンポジウムで講演した中央大人文科学研究所の高橋聡美客員研究員は「死にたい、というレベルのSOSでは遅い」と指摘した。子どもは心の疲れや悩み、困り事を抱えたら大人に相談する必要があり、受けた大人には、ジャッジやアドバイスをせずに寄り添う姿勢が求められると強調した。

 パネリストとして参加した町田真裕天童一中校長は、生徒の声を丁寧に聞くための工夫を紹介した。同校では生徒が話を聞いてもらう先生を担任を問わずに自由に決める「教育相談」を実施している。町田校長は「生徒の話で気になることがあったらすぐに動く」とし、迅速な対応もポイントに挙げた。

 シンポジウムは自殺対策強化月間(3月)に合わせて県が開催し、教育、福祉関係者ら約60人が参加した。

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