火災で村営船が運休、医師の定期巡回診療ができない…初の非常事態にドクターヘリが応えた 鹿児島市の医師、十島村へ飛び3島で診察

ドクターヘリから降りる鹿児島赤十字病院の医師(右)ら=19日、十島村口之島(同村役場提供)

 昨年12月の十島村営船「フェリーとしま2」の火災による運休で、医師の定期的な巡回診療ができなくなっている中、村は19日、急患搬送で協定を結ぶ社会医療法人緑泉会(鹿児島市)の救急医療ヘリコプターを使った巡回診療を初めて行った。鹿児島赤十字病院(同市)の内科医1人が、口之島と平島、諏訪之瀬島の3島の診療所で島民を診察した。

 フェリー火災以降、村は代替船での巡回診療を試みてきたが、悪天候で欠航が続き、1回しか実施できていなかった。今回は、同法人が村からの要望を受けて実現。費用は全額緑泉会が負担した。

 医師はヘリで口之島に到着後、海上タクシーで平島と諏訪之瀬島へ移動。同島での診療を終えると、航空機で鹿児島空港へ戻った。

 緑泉会が運営する米盛病院(同市)の冨岡譲二副院長(62)は「村営船運休という非常事態に対応した。必要があれば、今後も村と協議した上でヘリ運用を継続したい」とした。

 一方、フェリー火災以降、悪石島と小宝島、宝島の3島には医師が入れていない。村によると、これら3島での急患発生時には県立大島病院(奄美市)からヘリを飛ばすが、巡回診療としての利用は想定されていない。

 村は今後も、船の長期間の欠航に備え、ヘリによる臨時の巡回診療を続けたい考えだ。

 村住民課の安藤巧課長は「ヘリ診療を継続するとなると、村からも費用を負担する必要がある。予算は限られているが、運用できるよう努めたい」と話した。

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