2024年春開始TVアニメ 聖地巡礼で話題になりそうな3作品

2023年から24年冬にかけてのTVアニメのヒット作といえば『薬屋のひとりごと』と『葬送のフリーレン』だろう。どちらも日本テレビ系列で放送され、特に『薬屋のひとりごと』は、「電子処方箋」の普及を目的とした厚生労働省とのタイアップポスターが医療機関や薬局に掲示されたため、アニメファン以外でも目にした人は多いはずだ。24年春も多くのTVアニメが放送される予定。多くの作品の中から、「聖地巡礼」で話題になりそうな3作品を紹介しよう。

「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」2024年版は87作品が選定

アニメ・マンガ・ドラマ・映画・小説の舞台やモチーフとなった実在の土地をめぐる「聖地巡礼」は、新たな需要を喚起する観光活性化策の一つとして注目されている。声優人気・タレント人気もあり、TVアニメや連続TVドラマの聖地は巡礼者が多くなる傾向だ。こうした動きを受け、アニメツーリズム協会では、一般投票をもとに、作品権利者や地方自治体関係者と協議を行い、毎年「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」を発表。今年2月に発表した「2024年版」では、87作品、26施設、2イベント、107自治体を選定した。

「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」2024年版はウェブサイト上で公開している

今回から新たに「訪れてみたい日本のアニメ聖地」に加わったエリアは、東京都中央区(「江戸前エルフ」)、東京都世田谷区(「ぼっち・ざ・ろっく!」)、埼玉県長瀞町(「私に天使が舞い降りた! プレシャス・フレンズ」)など。また、「訪れてみたい日本のアニメ聖地」の一つ、埼玉県飯能市では、22年に放送したシリーズ4期「ヤマノススメ Next Summit」のキャラクターと市内の風景を描いたラッピングバス(4号車)を国際興業が24年3月11日から運行するなど、テレビ放送終了後も官民連携で作品と地域を盛り上げようと試みている。

24年3月11日から運行を開始した「ヤマノススメ Next Summit」ラッピングバス。内装にもアニメキャラクターやアニメのロゴイラストを装飾し、「見て楽しい、乗って楽しい」バスとなっている

響け!ユーフォニアム3/京都アニメーション

24年春アニメで前評判が高い作品の一つ、京都府宇治市を舞台に高校吹奏楽部の青春を描く「響け!ユーフォニアム」のTVシリーズ第3期となる『響け!ユーフォニアム3』は、4月7日から「NHK Eテレ」で放送予定。第1期は15年、第2期は16年にそれぞれ約3カ月間放送し、大ヒットした。今回は待望の「3年生編」。従来シリーズ同様、宇治市周辺を訪問する人が増えそうだ。

「京アニ」制作の人気アニメの第3期となる『響け!ユーフォニアム3』。今回の放送局は「NHK Eテレ」となる

リンカイ!/MIXI(アニメーション制作:トムス・エンタテインメント)

MIXI_ANIMEオリジナルコンテンツ第2弾である女子競輪キャラクターコンテンツプロジェクトから誕生するTVアニメ『リンカイ!』は、「TOKYO MX」と「BSフジ」で4月9日から放送予定。「U-NEXT」と「アニメ放題」で同時配信も行う。

女子競輪キャラクターコンテンツプロジェクトのアニメ『リンカイ!』

『リンカイ!』Projectは、全国の競輪場をホームバンクとする女子競輪選手のキャラクターを制作、TVアニメ、コミカライズなどのメディアミックス展開を通じて、「競輪」の魅力を発信し、全国の競輪場を盛り上げようというプロジェクト。ヒロインは「伊東泉」と「平塚ナナ」の二人。競輪ファンなら分かる通り、「伊東温泉競輪場」と「平塚競輪場」をモチーフとしている。アニメーションでは動きの再現が難しいといわれる走行シーンにも注目だ。

終末トレインどこへいく?/KADOKAWA(アニメーション制作:EMTスクエアード)

前述の「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に選定されている『ガールズ&パンツァー』などで知られる水島努監督によるオリジナルアニメ『終末トレインどこへいく?』は、「TOKYO MX」や「BS11」などで4月1日から放送予定。また、「dアニメストア」は地上波同時・単独配信を実施する。

水島努監督とシリーズ構成・横手美智子さんがタッグを組むオリジナルアニメ『終末トレインどこへいく?』

コンセプトは「終末世界×電車×友情」。公式サイトの<イントロダクション>によると、4人の学生と1匹の犬が郊外のある町から出発し、放置されて動かなくなっていた電車で、生きて帰れるかもわからない外の世界へと出ていくという。放送開始に先立って公開されたPVには、黄色い塗装の「西武2000系」が登場。物語の展開によっては沿線全てが聖地になるかもしれない。鉄道ファンや沿線居住者はぜひ見よう。

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