景況判断「下降」超に 山口財務事務所の企業景気調査

財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果をまとめた。調査時点は2月15日で、今期(1~3月)の現状、翌期(4~6月)の見通し、翌々期(7~9月)の見通しについて山口県内113社に聞き、108社から回答が寄せられた。内訳は、製造業が45社(41.7%)で、非製造業が63社(58.3%)。企業規模別に見ると、大企業(資本金10億円以上)が24社(22.2%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が22社(20.4%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が62社(57.4%)だ。

 

 まず、今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は11.1%で、「下降」と回答したのは26.9%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)はマイナス15.7ポイントで、前期(2023年10~12月期)の2.8ポイント「上昇」超から「下降」超へと転じた。

 

 業種別に見ると、製造業はマイナス20.0ポイントで、非製造業はマイナス12.7ポイント。規模別では、大企業はマイナス16.7ポイント、中堅企業はマイナス9.1ポイント、中小企業はマイナス17.7ポイントだった。全ての業種・規模で「下降」超となっている。

 

 全体の先行きは、翌期はマイナス0.9ポイント、翌々期はプラス1.9ポイントの見通しだ。

 

 次に、2023年度の「売上高」(回答85社)は、前年度比7.0%の減収見込み。製造業は、その他の輸送機械などで増収となるものの、化学や石油・石炭などの減収により、7.8%の減収見込み。一方非製造業は、宿泊・飲食サービスなどで増収だが、建設や運輸・郵便が減収で、0.2%の減収見込みとなっている。

 

 また、2023年度の「経常利益」(同85社)は、前年度比10.7%の増益見込み。製造業は、情報通信機械などが減益だが、石油・石炭やパルプ・紙などで増益となり、11.4%の増益見込み。非製造業は、運輸・郵便などが減益だが、小売や鉱業・採石などで増益となり、5.0%の増益見込みだ。

 

 そして、2023年度の「設備投資」(同92社)計画は、前年度比11.1%の増加見込み。製造業は、その他の輸送用機械などで減少するが、電気機械や鉄鋼などで増加し、5.8%の増加見込み。非製造業は、小売などで減少するものの、運輸・郵便や金融・保険などで増加するため、42.2%の増加見込みだ。規模別に見ると、大企業(2.6%)と中堅企業(149.2%)は増加だが、中小企業(マイナス59.0%)は減少の見込み。

 

 「雇用」の現状BSI(同101社)は、30.7ポイントで、42期連続での「不足気味」超。翌期(25.7ポイント)、翌々期(24.8ポイント)も「不足気味」超は続く見通しだ。

 

 

回答企業からの声

 

 回答企業からは「紙やインクなどの仕入価格が高騰しており、チラシなど製品価格への転嫁を進めているものの、価格高騰分の一部しか転嫁できず、収益を圧迫している」(その他製造)、「物価高の影響により消費者の節約志向が強まり、スーパーや土産物店での販売数量が減少しており、小売店向けなどの売り上げが減少している」(食料品)、「造船用資材の価格が高騰しているものの、船価に価格転嫁できるようになってきており、収益が改善している」(その他の輸送用機械)、「物価高の影響により消費者の節約志向が強まり、買い上げ点数が減少しているほか、特売日に売り上げが集中しており、安価な商品を求める傾向がみられる」(小売)、「新築住宅の需要が低迷していることを受け、建築資材などの販売数量が減少している」(卸売)、「住環境への関心や中古住宅のニーズの高まりなどからリフォーム需要が堅調であるほか、業務拡大を図ってきた成果により大型案件を受注できている」(建設)などの声が聞かれた。

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