屋外で立ったまま求め合う…。イケメン上司との不倫に溺れた女性行員の末路は (後編)

メガバンクの営業店で働くアカネさん(仮名・40歳)。キャリアで悩んでいたところ、前の店で一緒だった先輩のヒナタさん(仮名・43歳)に話を聞きに、鎌倉へ行きました。かつて体を合わせたことがある二人ですが、当時の話になったところ、彼から衝撃の告白があり……激動の後編を紹介します。

【エリート銀行員たちの不倫事情】

“あれ以来、バニーガールでしか抜けなくなっちゃったんだよね” と言った彼に 次ページ

「驚きました。私がバニーガールのコスプレをしていたことを覚えていてくれていたこともですし、”あれ以来、バニーガールでしか抜けない”と言ってくれたことも」

アカネさんが驚いた理由は、もう一つありました。ヒナタさんは結婚していて、娘が二人います。奥さんの顔をFacebookで見たところ、いかにも鎌倉の良家のお嬢様といった風貌だったからです。彼曰く、今はニューヨークに旅行に行っているとのこと。娘たちが留学しているので、様子を見に行ってるとのことでした。

彼は席を立ち、お会計をしに行ってくれました。慌てて後についていくと彼は『ここは僕が払うよ』と言います。『電車で来たの?』と聞かれて彼女が頷くと『じゃあ車で送って行くよ。一緒にドライブしよう』と言ってくれました。

その”ドライブ”がただ東京に戻る移動手段でないことは明らかでした。

再び結ばれる2人。しかし衝撃のラストが……

2人を乗せた車は、海沿いの道を走り続けました。どんどん市街から離れていく道のりを不思議に思っていると、ヒナタさんは説明を始めました。『朝比奈インター付近が渋滞するんだよ。そっちを通ると時間がかかるから、海沿いから少しそれた道を使ってる。地元の人だけが知っている道なんだよ』と。

「いかにも地元の人っていう感じで、羨ましく思いました。私だってそういう人と結婚したかった。そういう娘に生まれたかった。そんなのばっかりですよ。階級でおいしい思いをしてる人はいるのに”努力が足りなかった”なんて言われるんです」

えっ、ここでするの…? 車が止まった場所とは 次ページ

山の中腹で、彼は車を止めました。「見晴らしがすごくいいんだよ」と言って車を降りると、確かに背後には山で、遠くには海が広がっていました。

不意に後ろから彼が抱きしめてきました。『ねえ。僕の性癖の責任とってよ』という消えるような声に、彼女は心が締め付けられるような喜びを感じました。「エリートのお坊ちゃんが、私を求めている。そして私のせいで、ゆがんだ性癖になった」と。

アカネさんは彼の欲求に答えました。幸いその日は初夏のような暖かさで、外で立ったまま、2人は求め合いました。「金持ちの住むエリアで、いけないことをしている」という背徳感に、彼女は溺れていきました。彼も同じく興奮していたのか2人は目をまっすぐ見つめ合ったまま、あっという間に頂点に達しました。

車に戻った後、彼は「この山ひとつ保護するのに1年間で1,000万くらいかかるんだって」と言いました。アカネさんは「山の保護よりも私の心を守るために使ってほしい」と思い、直後に自分の心の汚さに後ろめたくなりました。すると何かを察したのか、彼は信号で停まったタイミングで、軽くキスをしてくれました。

『大丈夫だよ』と彼は言います。『僕は今まで、たくさんの行員の人を見てきた。誰もが羨むような生活をしているように見えて、パートナーが浮気性だったり、子供がうつ病だったり、音信不通だったりするんだ。人生、帳尻があるようにできているんだよ。少なくともアカネさんは、家庭はうまくいっているでしょう。仕事の方はそこそこで、家庭と仕事合わせて100点でいいんじゃないの』と。

他の人に言われたら腹が立つ言葉ですが、不思議と彼の言葉は彼女の中にスッと入ってきました。どこか寂しそうに笑う彼の目が印象的でした。

そして翌日……衝撃の情報が 次ページ

翌日、晴れやかな気持ちで出社すると、事務職の女性が話しかけてきました。「ねえヒナタ次長って知ってる?前、一緒だったって言ってたよね」と。とタイミングの良さに驚いていると、彼女は続けました。「あたし前の店が一緒だったんだけどね、奥さんが浮気魔なのよ。ついにニューヨーク支店の行員たちにも手を出して、大問題になってるんだって」と。

アカネさんは言葉を失いました。そんなことは一言も聞いていなかったからです。「仕事はうまくいっているけど、ご家族はそうでもないのね。アメリカに留学した娘は1人がうつ病になって、もう1人は音信不通みたい。人生って平等なのかしらねぇ」と、彼女は続けます。

アカネさんは彼の言葉を思い出しました。『仕事と家庭、合わせて100点でいいんじゃない』のと。彼の場合は仕事が100点、家庭が0点だったのでしょうか。

「彼には手短にお礼メールを送って、それだけ。もう会っていません。でも彼のおかげで、大事なことに気づけました。欲張りすぎてもいけないんだなって。人生そこそこで良いかなって思いました」

そう語るアカネさんの目は晴れやかで、木々のような爽やかさと、水面のようなきらめきが感じられました。

<文/綾部まと>

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