出勤途中の警察官がマンション火災発見、住民と連係し救護・消火 「心の制服は脱ぐな」の教え胸に

感謝状を贈られた(前列左から)菱田さん、神野さん、山口さん=精華町北稲八間、町消防本部

 京都府精華町消防本部は、町内で起きた火災で、迅速な初期消火や救護を行い、被害を最小限に食い止めたとして、男女3人に感謝状を贈った。

 火災は1月28日早朝、同町下狛のマンション2階の一室で発生。京都府警木津署交通課の署員菱田百芳さん(26)=京田辺市=は、出勤のため近くの府道をバイクで走行中、マンションの方向から灰色の煙が上がっているのを見て駆け付け、火災を発見。建物内に入って大声で「火事だ」と繰り返し知らせた。火元の部屋の玄関先に住人男性がいるのを見つけ、消火のため部屋に戻ろうとするのを制止した。

 同じ階に住む神野慶次さん(75)は、備え付けの消火器で初期消火を実施。同じく住人で会社役員の山口政春さん(42)は、菱田さんから引き継いで119番通報した。菱田さんと神野さんで男性を階下に避難させ、看護師の資格を持つ山口さんは、持っていた機器で男性の酸素濃度を測るなど救護に当たった。

 部屋は全焼し男性は気道熱傷を負ったが入院治療で回復し、退院したという。

 同本部の岩井博行消防長から感謝状を受け取った菱田さんは「警察学校では『心の制服は脱ぐな』と教わった。緊急事態に対応し、住民の安全を守るという警察官の精神を実践できた」と話した。

© 株式会社京都新聞社