裏金事件は地方選にも飛び火するが、自民への逆風だけじゃない? 非自民は政治不信の拡大警戒「投票率下がれば組織ある自民に有利」 鹿児島市議選告示まで2週間

鹿児島市議会議員選挙に向けて設置されたポスター掲示場=23日、鹿児島市山下町

 4月7日の鹿児島市議会議員選挙の告示まで24日で、残り2週間となった。定数45に対して62人(現職34人、新人27人、元職1人)が南日本新聞の取材に立候補の意向を示している。最大会派の自民市議団には、国会議員を巡る政治資金パーティー裏金事件の影響で有権者から厳しい声が寄せられている。一方で、その他の政党や無所属の関係者は政治不信を警戒する。浮動票や投票率の動向が今回の選挙の鍵となりそうだ。

 「逆風が吹いている中で、申し訳ない」。自民県連が3月上旬に鹿児島市で開いた決起集会。県連選挙対策委員長の野村哲郎参院議員は裏金事件について謝罪し、「今回が一番の試練の時。県連も一生懸命支えたい」と述べた。

 現議席20の自民は現職16人、新人5人を擁立する。勢力維持には21人の全員当選が欠かせないが、候補予定者からは事件の悪影響を不安視する声が上がる。

 若手現職の一人は「支持者から、票を入れると自民を支持することになるから悩んでいると言われた」と打ち明ける。「党名を前面に出したがらない立候補予定者もいる」と指摘する現職もいる。

 だが、自民以外の政党も、裏金問題を追い風と捉えているわけではない。必ずしも自民批判の受け皿になるとは限らないからだ。

 前回の投票率は過去最低の37.32%を記録した。

 ある野党新人は「政治不信が進み投票率が下がれば、結局は組織票や地盤がある自民が有利になるのでは」と懸念する。立民県連代表の柳誠子県議は「組織票を持つ候補が少なく、投票率も大幅な上昇が見込めない。楽観視せず活動を続ける」と気を引き締める。

 自民以外の政党では、現議席5に対して現職3、新人3の6人を立てる公明と、3に対して現職2、新人3の女性5人を擁立する立憲が勢力拡大を狙う。現在議席のない維新、参政はそれぞれ新人3人、1人が出馬を予定する。

 勢力維持を目指すのは現議席3の共産、2の社民、1の国民。それぞれ現職のみが立候補を予定する。

 8人いる無所属は現職7、新人12、元職1の20人が名乗りを上げる見通しだ。

 投開票日は4月14日。県立短期大学の山本敬生准教授(55)=行政法=は「自分1人が投票しても政治は変わらないとの考えは誤り。投票率が上がれば、政治家は敏感に反応する。まずはしっかりと投票で意志表示することが大切」と呼びかけている。

〈関連〉鹿児島市議選立候補予定者数を政党別の一覧表で確認する

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