言葉は苦手だけど、絵は得意な小学3年生…「息子の自立の励みに」父の打診をプロバスケ選手が快諾 B3鹿児島レブナイズ コラボTシャツを試合会場で販売

自作のデザイン入りのTシャツを着て、笑顔を見せる亀田航琉君=23日、鹿児島市の西原商会アリーナ

 バスケットボールBリーグ3部・鹿児島レブナイズの中島良史選手(33)と、知的障害のある鹿児島県肝付町の亀田航琉(わたる)君=高山小学校3年=が協力してTシャツを作った。墨やクレヨンで描いた絵や文字を基に、チームや周囲の大人が手伝って商品化。中島選手は「障害者と社会をつなぐ架け橋の一つになればいい」と願いを込める。23日から公式戦で販売を始めた。

 鹿児島市の西原商会アリーナでは、Tシャツ姿の航琉君がグッズ売り場に立ってPRした。購入者には、家族らと一緒に手を振ったり、グータッチをしたりして感謝の意思を表現。作品への思いをつづったチラシも直接手渡した。

 特別支援学級に通う航琉君は言葉をうまく話せず、日常生活でも介助が必要だ。だがひとたび筆を握ると力強く、生き生きとした絵や文字をしたためる。

 チームのスポンサーを務める父・孝臣さん(45)と中島選手との交流がきっかけだった。「息子が自立できるか心配」。不安を漏らす孝臣さんに、中島選手は「応援をもらっている分、自分もサポートしたい」と応じ、絵の才能を生かせるTシャツ作りを提案した。

 高山小学校の田代里子教諭(46)が協力し、文言や図柄を考案。航琉君が点と点を結ぶように仕上げた。完成したTシャツの表や裏には、中島選手の背番号「1」や似顔絵、噴火する桜島がダイナミックに躍る。

 Tシャツは1枚3000円で白と黒の2色。売り上げの一部は、福祉施設や子ども食堂を運営する法人などに寄付する予定だ。田代教諭は「皆が力を合わせて苦手をカバーし合えば、新しいことを生み出せる」と話した。24日も試合会場で販売する。

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