栃木県林業大学校が完成 100%県産「木造建築のシンボル」が誕生 4月開校、林業人材の育成拠点へ

スギの丸柱など県産材が使われた県林業大学校の研修・研究棟=23日午前10時25分、宇都宮市下小池町

 4月に開校する「栃木県林業大学校」が宇都宮市下小池町に完成し、県は23日、関係者向けに内覧会を開いた。林業人材の育成拠点として、設置検討から約4年。県産のスギやヒノキを100%活用した「本県木造建築のシンボル」が新たに誕生した。将来的には隣接する県林業センターの試験研究機能と連携させ、林業関連産業の発展を目指していく。

 同校は林業人材の確保や育成を目指す県営施設。1年間で基本知識や伐採技術などを教え、即戦力を育てる。今春は1期生21人が入学する予定になっている。

 工事は2022年10月に開始。24年2月末までに授業のメイン施設「研修・研究棟」、屋内で実技を学ぶ「全天候型実習棟」、最先端機械を保管する「林業機械整備棟」、「公用車車庫」の整備が完了した。

 4施設の総延べ床面積は2637平方メートルで、総事業費は約20億円。建物自体が学生の教材や非住宅建築物のモデルとしても活用される。

 このうち研修・研究棟は木造2階建て。延べ床面積は1903平方メートルで横53メートル、奥行き24メートル、高さ10メートル。玄関ホールは吹き抜け構造で直径60~80センチ、高さ約7メートルの4本の丸柱が建物を支える。教室などの天井には三角形の骨組みを組み合わせた「トラス構造」を3種類採用し、建物の安定性やデザイン性を高めている。

 この日の内覧会には林業関係者ら約70人が参加。研修・研究棟内を初見学した県森林組合連合会の江連比出市(えづれひでいち)会長(73)は「ぜひ学校では生徒に林業の魅力を伝えてほしい。われわれ林業事業体も受け入れ態勢を整えたい」と語った。

 今後、県林業センターの機能と連携を図り、「研究と研修の拠点」とする方針。校長に就任予定の大野英克(おおのひでかつ)同センター場長(58)は「全国的に木材需要が高まる中、労働力不足で生産が停滞している現状がある。本県は品質の高い木や産業がそろう。学生には夢を持って飛び込んで学んでもらいたい」と期待を込めた。

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