ボランティアが帆を作製 射水の海王丸、1年半かけ完成 29畳分の1枚、手縫いで

帆を取り付ける練習をするボランティア=射水市の帆船海王丸

  ●4月から展帆、3月24日設置

 射水市の観光名所「帆船海王丸」の帆を広げる展帆作業に参加するボランティアが23日までに、セイル(帆)を作製した。29枚ある海王丸の帆は10年程度で使用できなくなるため、通常は伏木富山港・海王丸財団の職員らが作製して更新しており、展帆がない冬季も海王丸に接してもらいたいと呼び掛け、ボランティアが協力した。29畳の巨大な帆1枚を約1年半かけて手縫いで仕上げた。24日に取り付け、4月から始まる展帆で披露される。

 新たに作られたのは、船の先頭にある「フォアマスト」の縦帆1枚。2022年11月からボランティアが集い、布の裁断や縫い合わせる作業に当たってきた。

  ●地震で作業中断

 昨年末からは、金具や帆を広げるときに引っ張るロープの取り付け作業が船内で行われていたが、元日の能登半島地震の影響で海王丸パーク内が液状化の被害に遭い、中断していた。安全が確保された3月から作業を再開し、完成させた。

 海王丸では4~10月に10回ほど展帆が行われ、白い帆を広げた「海の貴婦人」の優美な姿が地元住民や観光客を魅了している。

 帆は現役船で5年程度、動かない海王丸は10年程度で劣化するため、更新が必要となる。帆の作製は業者などに依頼せず、職員らが手縫いで当たっており、かつてはボランティアの協力も得ていたが、近年は職員が作っていた。ボランティアによる帆の作製は約10年ぶりとなった。

 参加したボランティアは、帆を広げるだけでなく、一から作るところから体験できたことを喜び、「海王丸がより好きになった」との感想も聞かれた。

 23日はボランティアが船内で帆の取り付け方を学び、掛け替えは24日午前中に行われる予定。今年の展帆は4月28日から始まる。

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