大の里、逆転V懸け楽日 24日、大関・豊昇龍戦

  ●勝利が最低条件 「全力でやるだけ」無欲貫く 阿炎下し11勝

 大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)14日目の23日、西前頭5枚目の大の里が小結阿炎(あび)を破って11勝目(3敗)を挙げ、逆転優勝に望みをつないだ。千秋楽は大関豊昇龍と対戦する。1差で首位に立つ尊富士(たけるふじ)は朝乃山に敗れ、右足を負傷。大卒1年目、デビュー6場所目の23歳は「優勝」の2文字を意識しない無欲の相撲を貫く姿勢で「目の前に置かれた明日の一番を全力でやるだけ」と力を込めた。

 目の前で尊富士が朝乃山に敗れるのを見届けても心は揺れなかった。阿炎の突き、押しに後退したものの、冷静にはたき込んだ。これで今場所4人目の三役撃破。土俵下の浅香山審判長(元大関魁皇)は「立ち合いもいい。体が動いている」と評価した。

 集中力が途切れなかったのは、12日目の反省からだ。直前の取組で尊富士が初黒星を喫するのを目の当たりにし「欲が出た」。続いて土俵に上がるも大関琴ノ若に屈し、3敗目を喫した。「余計なことを考えてしまった」という。阿炎戦後の支度部屋で優勝への意識を問われた大の里は「3敗した時点でないと思っている」と言い切った。

 千秋楽は先に土俵に上がる尊富士が敗れた場合、優勝のチャンスが残る。対する豊昇龍には0勝1敗。雪辱を果たせば、優勝決定戦が控える。

 昨年夏場所で幕下10枚目格付け出しデビューし、幕内は2場所目。優勝すれば、県出身では元大関出島(金沢市出身、大鳴戸親方)以来25年ぶりで、14度の優勝を誇る元横綱輪島(七尾市出身)の15場所も上回るスピード記録となる。

 「12勝するか、11勝で終わるかは自分次第」。大の里は自らに言い聞かせるように語り、支度部屋を後にした。

  ●遠藤3連勝 欧勝海負け越し

 東前頭16枚目の遠藤は西前頭11枚目の佐田の海をはたき込んで5勝目を挙げた。突き、押しに後退したが、土俵際でうまく体を残してはたき込んで3連勝。残り1番に向けて「これで余計なことを考えずに準備できるからよかった」と前向きに話した。

 東十両4枚目の輝は同12枚目の琴恵光を押し出し、6勝目。一気に攻め込む会心の内容で「しっかり攻め切れた」とうなずき、「気持ちは変わらず、残り一番に集中する」と話した。

 東十両11枚目の欧勝海は西十両5枚目の白熊の上手投げに屈し、関取として初めて負け越した。右四つで攻めたが、土俵際の左上手投げに崩れ落ちた。「勝ちたいという欲が出て緊張した」と唇をかんだ。

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