地方での雇用難に直面/A(エース)社会保険労務士法人 代表社員 足立 徳仁

当法人は、京都府内に4拠点という少し珍しい形で運営をしている。京都府といっても南北に長く、都市部と地方では人口や産業構造が大きく異なり、雇用についても都市部には都市部の、地方には地方特有の悩みが生まれている。

一方、現代の日本で経営者が直面する最大かつ共通の課題は、人材不足ではないだろうか。少子高齢化に伴う人口減少のなか、人材不足は避けられない現実であるが、とくに地方ではその問題が深刻である。

大学のない地方では進学のため若者の都会への流出が顕著であり、人材不足の一因と考えられる。

私たちも各拠点で求人を出しているが、人口が多い地域ほどやはり応募者数が多く、人口が少ない地域ほど極端に応募者数が少なくなる傾向がある。

事務職や営業職での求人でさえこのような状態であるから、資格を必要とするような専門職に関してはさらに人材不足は深刻になってくる。とくに地方においては、建設業や製造業など、肉体労働を伴う職種が多く、若い労働者の不足が顕著である。

しかし、悲観的になるばかりでは解決にはつながらない。私たちも、中小企業のサポート役として、魅力的な求人票の書き方に関するセミナーのほか、労働条件や求人内容を他社と比較する採用力診断、自社採用ホームページを作るサービスなどを提供している。ただ、求職者など、そもそもの母数が少ないので、なかなか根本的な解決には至っていないのも事実である。そこで、若い人材に働いてもらうためには、外国人労働者の活用が考えられる。外国人雇用に関しては制度も複雑であるため、トラブル防止やコンプライアンスの観点からも、社会保険労務士が企業に貢献できると考える。

社会保険労務士の本来の役割は、労働環境の整備と、労使双方にとって働きやすい環境の提供である。私たちは、魅力的な企業を増やし、離職者を減らし、若者が働きたくなるような企業づくりのお手伝いと、人材紹介や派遣、外国人労働者の活用など、多様な提案を行っていく必要があると考えている。AIが発達し、人間の仕事を奪っていくともいわれているが、大企業に比べて資金面で苦しい中小企業においては、まだまだ人でないとできない仕事はなくならないだろう。

雇用環境が多様化し、すべての企業に生産性の向上が求められる今日、当法人も未来を見据えた労働環境の整備と人材確保に向けた取組みを提案できる社会保険労務士事務所であり続け、地元企業の成長を支援していきたい。

A(エース)社会保険労務士法人 代表社員 足立 徳仁【京都】

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