【バジル】の栽培方法と活用アイデア3選|桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活

「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。第29回は【バジル】です。

本連載の他、桐原春子さんの記事はをご覧ください。

料理のレパートリーが広がる【バジル】

バジルはイタリア料理やアジア料理に欠かせないハーブ。使いこなせるようになると料理のレパートリーがぐんと広がります。

別名/メボウキ(和名)、バジリコ
科名/シソ科
性質/一年草
草丈/50~80㎝

活力をもたらす強い香りが人気

甘く強い香りが食欲をそそるバジル。シソ科メボウキ属の一年草ですが、原産地のインドなど亜熱帯地方では多年草となります。多くの種類があり、たとえばホーリーバジルは、インドではヒンドゥー教の神に捧げる聖なる植物として古くから大切にされてきました。

「バジルはその後ヨーロッパに渡り、イタリアや南欧ではソース、ビネガー、オイルなどの基本的な香味材料として盛んに用いられてきました」

今では世界中で利用され、商業栽培も盛ん。日本でもフレッシュバジルがスーパーに出回り、苗も容易に手に入るようになりました。料理には葉を摘み取って使います。桐原春子さんはスイートバジルをトマトソースや煮込み料理に使ったり、赤紫色のダークオパールバジルをビネガーに漬けたりと、美しい色合いと味を楽しんでいます。

「バジル、塩、オリーブ油、にんにく、パルメザンチーズ、松の実をすりつぶしたバジルソース(ジェノベーゼ)はパスタや肉料理のソースとして有名。トマトとの相性が抜群で、新鮮なバジルとトマトに塩、こしょう、オリーブ油をかけただけのシンプルな食べ方も元気が出ます」

葉を収穫しながら枝数を増やす

ドライバジルも利用できますが、苗を簡単に入手できるので自分で育ててフレッシュな味を満喫するのがおすすめ。

「原産地が亜熱帯地方なので、発芽には20~25度の気温が必要です。地植えでも鉢でも育てられ、鉢植えは土が乾いたらたっぷりと水を与えます。葉が茂ってきたら新芽のすぐ上で剪定を兼ねて収穫すると、枝数が増えて立派な株になります。霜が降りるまで収穫でき、鉢を暖かい窓辺に置くと長く緑を保ちます。また、こぼれダネでよく増えます」

一般的に出回るのは代表種のスイートバジル

スイートバジルのポット苗を布で包み、透明な器に入れました。茎は直立してよく枝分かれし、葉は明るい緑色で柔らかく、触れると周囲に甘く強い香りがたちこめます。

バジルにはホーリーバジル、ダークオパールバジルなど多くの種類がありますが、一般に食用にされるのはスイートバジル。夏にはシソに似た花穂に白い小花を咲かせ、花後に褐色の実(タネ)ができます。

活用アイデア① ガパオライス

ガパオライスとは近年、日本でも人気のタイのバジル炒めご飯のこと。ガパオはタイでよく使われるホーリーバジルを指しますが、スイートバジルでも十分おいしい!

目玉焼きは多めの油で揚げ焼きのようにし、周囲をカリカリにするのがポイント。黄身をくずし、ご飯と混ぜながらどうぞ。テーブルにバジルのミニブーケも添えて。

作り方(2人分)

❶玉ねぎ中¼個(50g)はくし形に切る。ピーマン、パプリカ(赤、黄)各¼個は薄切りにする。

❷フライパンにオリーブ油大さじ1を熱し、にんにく(みじん切り)2かけ分、赤唐辛子(輪切り)1本分を入れて炒める。香りが出てきたら鶏ひき肉150gを加えて炒める。水50mlを加えて混ぜ、オイスターソース小さじ4、ナンプラー小さじ2、しょうゆとはちみつ各少々を加え、①を加えて炒める。火を止めたら、きざんだバジルの葉(フレッシュ)5~6枚分を加え、器に盛ったご飯適量に半量ずつかける。

❸小さめのフライパンに好みの油を多めに入れ、卵1個を割り入れる。2分ほどフライパンをゆすりながら加熱し、半熟より少しかための目玉焼きを作る。同様に、もう1個目玉焼きを作る。

❹②に③をのせる。好みでバジルの葉(フレッシュ)を適量添える。

活用アイデア②③ カプレーゼ&バジルビネガー

イタリア、カプリ島のサラダをカプレーゼと呼びます。トマトの赤、チーズの白、バジルの緑がイタリア国旗のようで、見て、食べて元気が出るサラダです。グリーンオリーブとレモンが味のアクセントに。

バジルビネガーにはダークオパールバジルの改良種 ‘ルビー’ を使用。漬けるだけでルビーのような赤色が出てきれいです。

カプレーゼの作り方(2人分)

❶モッツァレラチーズ1袋(100g)、トマト中2個を薄切りにし、皿に交互に並べる。バジルの葉(フレッシュ)、グリーンオリーブ、くし形に切ったレモン各適量を添える。

❷オリーブ油、塩、粗びき黒こしょう、レモン汁各適量を混ぜ合わせ、①にかける。

バジルビネガーの作り方(作りやすい分量)

清潔な瓶に好みの酢200mlを注ぎ、10cm程度のバジルの枝葉(フレッシュ)2本を加えて蓋をする。翌日から使用可能。好みでベイ、赤唐辛子を加えても。

撮影/川部米応

※この記事は「ゆうゆう」2021年11月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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