鹿児島ユナイテッドFC プロ2年目、順調に成長曲線を描く山口卓己(大分高出身) 【大分県】

昨季、J3鹿児島ユナイテッドFCに大卒新人として加入した山口卓己(大分高卒)。34試合に出場してJ2昇格を経験し、今季は開幕からスタメンの座を勝ち取った。第5節のアウェー、大分トリニータ戦で、中学・高校時代を過ごした大分に凱旋。山口は「ここ(レゾナックドーム大分)は特別な場所。高校時代に(全国高校サッカー選手権県予選の)決勝で試合をした。試合前からワクワクした」と懐かしむ。

高校3年の時に、県内無敗で全国高校総体、全国高校サッカー選手権に出場した。プロを目指していたが、高校卒業時にはJクラブからオファーが届かず、「大学で成長して絶対プロになる」と宣言して鹿屋体育大に進学した。その強い思いは本物だった。強豪大学で1年時から試合に出場し、経験を積んだ。

大分への凱旋試合となった5節・大分戦

167cm、61kgは決して恵まれた体型ではない。中学時代から、中盤の底から正確なパスを駆使して試合をつくる司令塔であったが、大学では運動量を増やし、「水を運ぶ選手」(チームのために献身的にプレーする選手)として評価された。試合の流れや相手の出方に応じて、最終ラインと前線の間を行き来し、チーム全体をコントロールできる選手に成長した。4年時には鹿児島の特別指定選手として試合に出場し、プロ契約を勝ち取った。

プロになってからは、「中盤の底というポジションは、あらゆる面で高次元のプレーをしなければ務まらない」(山口)と試行錯誤。守備では対人プレーを強化し、競り合いでも負けない体をつくった。攻撃ではワンタッチプレーを増やし、テンポ良くパスを回し、チームのリズムをつくれるようになった。プロ2年目となる今季は主力として試合に出ており、チームに欠かせない存在になりつつある。今季の目標を「個人としては5得点5アシスト、チームはプレーオフ進出」と掲げた山口。大分戦では強度の高いプレスに苦しみ、思うようなプレーができなかった。「まだまだやらなければいけないことが多い。プロの世界は甘くないが、今は楽しめている。もっともっとうまくなりたい」と語り、会場を後にした。

チームの主力としてプレーする山口卓己

(柚野真也)

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