つくばのNPOが普及活動 AEDで突然死減少を 茨城県内各地で展開 適切な利用法周知

AEDを使った救命体験に取り組む参加者ら=水戸市緑町

心停止による突然死を減らそうと、NPO法人「いばらき救命教育・AEDプロジェクト」(茨城県つくば市、立川法正代表)が、県内各地で普及活動に取り組んでいる。心臓の急なけいれんなどで心停止する人は年間9万人超。自動体外式除細動器(AED)などによる救命措置は欠かせないことから、適切な使い方を学ぶ機会を今後も増やしたい考えだ。

「AEDによる電気ショックの役割は、心臓を動かすこと、止めること、どちらだと思う?」。水戸市緑町のアダストリアみとアリーナ。ドッジボール大会の休憩時間に開かれた救命教室で、立川代表が児童約480人と保護者らに問いかけた。半数以上が「動かす」を選ぶ中、立川代表が「実は『止める』役割なんです」と明かすと、会場にどよめきが起きた。

心停止の多くは、心臓がけいれんし全身に血液を送れなくなる「心室細動」が原因とされる。開始から5分以内で完全に心臓が止まるため、電気ショックで心臓の震えを止め、正常な脈に戻す必要がある。

消防庁のまとめによると、2022年に救急搬送された人のうち、「心原性心肺機能停止」だったのは9万1498人。このうち心停止の瞬間を目撃されたのは約3万人で、周囲の人がAEDを使って半数以上の命を救ったという。

同プロジェクトは20年、救命措置の意義を広め、AEDによる救命措置が当たり前に実施される地域社会を目指して設立。県内各地の学校などで普及活動を展開している。

この日の救命教室では、子どもたちがAEDを適切に取り扱えない可能性を念頭に「人が倒れるのを見たらまず大人に知らせよう」と強調。保護者には、子どもが倒れた場合の対応として「すぐに『心停止かもしれない』と思えないと、5分以内に救うことは難しい」と注意を促した。保護者と子どもが3人一組となった対応訓練も実施した。

救命体験に参加した大洗町立南小6年、大内陸君(12)は「まずAEDの場所が分からないと、5分以内に対処できない。普段から意識することが大切」と話した。

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