錦織圭、復帰戦敗退もモチベーションは衰えず!「クレーで良いプレーができることを願っている」と次戦に抱負<SMASH>

現在行なわれている男子テニスのマスターズ1000大会「マイアミ・オープン」(3月20日~31日/アメリカ・マイアミ/ハードコート)で、約8カ月ぶりのカムバックを遂げた元世界ランク4位の錦織圭(現351位/34歳)。初戦で敗れたものの収穫もあったようで、記者会見では完全復活へ向け並々ならぬ闘志を覗かせている。

錦織は現地21日に行なわれたセバスチャン・オフナー(オーストリア/40位)との1回戦で、左ヒザのケガを負った昨年7月の「アトランタ・オープン」(ATP250)以来となる実戦に復帰。試合には3-6、4-6で敗れたが、代名詞のバックハンド・ダウンザラインのウィナーや巧みなドロップショットなど随所に錦織らしい多彩なプレーを披露し、会場のファンを大いに沸かせてくれた。

「モチベーションを失うことは決してない」――数々の苦難を乗り越えてコートに帰ってきた日本の大エースはそう断言する。「理由は説明できないけど、常にモチベーションはあります。自分のテニスを取り戻すことを楽しみにしている。すぐにではないかもしれないが、僕は闘い続けるでしょう」と、改めてテニスへの情熱が衰えたことはないと強調した。

左股関節の手術を受けた22年1月以降で錦織が出場したのはATPツアー2大会、チャレンジャー(下部大会)3大会の計5大会。やはり試合でプレーすることに飢えているようで、「とにかくたくさん試合をしたい」と言うが、そこには自身のフィジカルを踏まえた葛藤もあると明かす。
「健康でいられるといいなと思います。それが今年の唯一の目標で、できるだけ多くの試合に出場したい。でも体力的に、それが一番難しい。去年の夏にはほぼコンディションが戻って6、7試合をプレーしたけど、また身体を痛めてしまったので」

半年以上の時を経て臨んだ久々の実戦については「今日はほぼ楽しめていたけど、トップ50の選手に勝つには十分ではなかった」と振り返りつつ、一定の手応えもつかめた様子。「今日のプレーには十分満足しています。ベストではないかもしれませんが、今後また数大会でプレーできるのを楽しみにしています」と前向きな言葉を続けた。

昨年の復帰時には主にチャレンジャーを回っていた錦織だったが、今回はツアー公式戦を中心にプランを組んでいるようだ。現時点では「全米クレーコート選手権」(4月1日~7日/ATP250)、「バルセロナ・オープン」(4月15日~21日/ATP500)、「マドリード・オープン」(4月24日~5月5日/ATP1000)のクレー3大会に出場予定。「僕はクレーが好きで、良い成績を残しているサーフェスです。そこで何試合か良いプレーができることを願っています」と自信も見せる。

一方で「厳しいものになることはわかっています。初戦で負け続ける場合はチャレンジャーも入れるかもしれない」と代替案も含めて先を見据えているという錦織。一時代を築いてきた彼にはどうしても色々と期待してしまうが、何よりもケガの再発には十分に気を付けて、無理のないスケジュールで長くプレーを続けてほしい。

文●中村光佑

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