「現代の名工」が造った「ひのき舞台」がえびのの廃校跡に完成 30日、米良美一さん招きお披露目コンサート

地場産ヒノキで造った「ひのき舞台」と川野幸三さん=えびの市末永

 宮崎県えびの市末永の旧上江小学校霧島分校で「匠塾グローバル・ヴィレッヂえびの」を主宰する建築工芸家の川野幸三さん(84)が、旧分校敷地内に地場産ヒノキを使った幅9メートル、奥行き6メートルの「ひのき舞台」を造った。30日に声楽家の米良美一さん(52)を招いて開くコンサートでお披露目する。

 川野さんは宮崎県産材、中でもヒノキにこだわった家具作りや建築に長年取り組み、2022年に「現代の名工」に選ばれた。9年前、綾町から良質ヒノキの産地であるえびの市に工房を移した。

 かつては定番建材だったヒノキも現在は安い外国産材に押され、需要が減っている。「使われないままヒノキ林が放置されるのはもったいない」と、一流劇場の略称ともいえるひのき舞台を造り、ヒノキを使った建築物の素晴らしさをアピールしようと考えた。

 近くの民有林からヒノキ27本を譲ってもらった。製材業者が長さ6メートル、厚さ40ミリに加工したものを自ら均等に削り込み、床に張った。床の厚さは通常の舞台の倍以上となる23ミリを確保。知人のチェロ奏者に試演してもらい、「床材の厚さが、いい音響につながっている」と高評価を受けた。

 川野さんは「若い頃巡った欧州の劇場を参考に造り、狙いはほぼ反映できた。米良さんの歌を通して、音響効果を確認してほしい」と話す。

 コンサートは30日午後1時開場、2時開演。チケット(前売り大人3000円、高校生以下千円)は、道の駅えびのや京町温泉駅などで販売中。

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地場産ヒノキで造った「ひのき舞台」と川野幸三さん=えびの市末永

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