大学生ですが、親から「アルバイトをするなら扶養内で働くように」と言われました。毎月いくらまでなら働けますか?

基本は年間の収入を103万円までに抑えるとよい

基本的に年収を103万円以下に抑えておけば、親の扶養から外れずにアルバイトで働くことができます。

アルバイトによる給与収入が年間で103万円までは、所得税法上の控除対象扶養親族に該当します。

国税庁「No.1180扶養控除」によると、大学生の子どもが特定扶養親族(その年の12月31日現在の年齢が19歳以上、23歳未満)の場合、扶養している親は扶養控除として63万円の所得控除が受けられるとされています。

参考までに、親の年収が400万円程度で、所得税率5%が適用されているケースを例にすると、特定扶養親族の子どもが扶養から外れることで、親の所得税は3万円程度増えることになります(所得控除がなくなる63万円に税率5%を乗じて計算)。

いずれにせよ、年収が103万円以下に収まるように、アルバイトでの月収を8万5000円程度に抑えておけば、親の扶養に入りながらアルバイトをすることができるでしょう。

なお、アルバイトの年収を103万円以下に抑えた場合、基礎控除48万円と給与所得控除55万円が適用されて所得はゼロとなるので、学生本人の所得税もかかりません。ただし、住民税は年収100万円前後から発生します。具体的な税額は自治体によって異なるので確認が必要です。

住民税が発生するからといって親の扶養から外れるわけではありませんが、アルバイトの年収によっては自身の税負担が生じることは知っておくべきでしょう。

130万円の壁の適用条件が変わったので何時間でも働いていいのでは?

扶養内での就労について最近話題となっていることに、パート・アルバイトといった短時間勤務における年収130万円の壁の崩壊があります。それによって主婦を中心に「扶養の範囲を気にしなくていい」と、働く時間を延ばす人も出てくることも考えられます。

しかし、130万円の壁とは社会保険の壁のことをいい、税制上での扶養の壁とはまた別問題です。

年収が130万円を超えた場合でも、社会保険においては親の扶養のままいられても、本人の所得税や住民税といった税負担は増えてしまうこともあるでしょう。それだけにとどまらず、年収が103万円を超えることで税制上の扶養から外れて親の税負担も増えます。

130万円の壁は社会保険に関するものであり、税負担に関するものとは別だと知っておく必要があります。

勤労学生控除の適用を受ければ問題ない?

勤労学生控除は、学生であれば一定の条件を満たすことで、年収130万円までは本人の所得税が非課税になるというものです。

ただし、あくまでも学生本人が受けられる所得控除で、控除が適用されたとしても、年収が103万円を超えてしまえば親の扶養から外れることになるので注意が必要です。

まとめ

大学生が扶養の範囲内でアルバイトをしてほしいと親から言われた場合、年収103万円を超えないように、月収では8万5000円程度を目安に働けば問題ないでしょう。

130万円の壁崩壊で扶養に入りながら働くという主婦などの意見もありますが、そちらと親の扶養に入り続けられるのかということは別問題です。

年収103万円を1円でも超えると親の税負担は大きく増えます。扶養内で働くのであればその点を知っておき、アルバイトの収入については毎月調整し、年間を通して103万円を超えないように注意することをおすすめします。

出典

国税庁 No.1180 扶養控除

執筆者:柘植輝
行政書士

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