レッドブル育成ハジャルが好機と勝利を掴む。宮田莉朋は自己最高更新の連続入賞/FIA F2第3戦レース2

 3月24日、2024年FIA F2第3戦メルボルンのフィーチャーレース(決勝レース2)が行われ、アイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)が優勝を飾り、前日のスプリントレースで失った勝利を取り戻す結果となった。

 12番手スタートの宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は5位でチェッカーを受け、連続入賞を果たした。

 フィーチャーレースのグリッドは22日に行われた公式予選で決定され、デニス・ハウガー(MPモータースポーツ)がFIA F2自身初のポールポジションを獲得。フロントロウ2番手にアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)が続いた。

 今大会のタイヤコンパウンドは、プライムタイヤがミディアム(イエロー)、オプションタイヤがスーパーソフト(パープル)となる。予選上位勢の多くはスタートタイヤにスーパーソフトを選択する中、4番手スタートのクッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)はミディアムスタートを選択した。

 タイヤ交換義務を有する周回数33周で争われるフィーチャーレースは、曇り空のもと気温17度、路面温度23度というコンディションで幕を開けた。

 ポールスタートのハウガーがターン1のホールショットを守り、アントネッリ、リチャード・フェルシュフォー(トライデント)と、上位3台はグリッドどおりに続く中、5番手スタートのゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)がミディアムスタートのマイニをかわし4番手に浮上する。

 オープニングラップから上位勢の戦いは白熱し、ターン11でアントネッリがトップに浮上。ただ、2周目のターン9でDRSを使用したハウガーが再びアントネッリの前に出る。さらにマローニもフェルシュフォーを攻略し、3番手に浮上する。

 一方、12番手スタートの宮田は一時11番手に浮上するが、21番手から怒涛のスタートを見せたビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)にかわされ13番手にポジションを下げる。

 スーパーソフトタイヤのデグラデーション(性能劣化)はやはり早く、4周目ごろから上位勢は無線でグリップダウンを訴える。6周目には3番手につけていたマローニがターン10でわずかにコースオフを喫し、ミディアムタイヤを履くマイニに3番手の座を奪われる。

 この頃にはミディアムとスーパーソフトのタイム差が2秒近くまで広がっており、マイニはさらにアントネッリを攻略し2番手に浮上する。

 6周目、ザク・オサリバン(ARTグランプリ/ウイリアムズ育成)と接触したジョシュア・デュルクセン(PHM AIXレーシング)がターン13のグリーンにマシンを止め、バーチャル・セーフティカー(VSC)導入となる。

 9周目にVSC解除となると、マイニはターン9でハウガーをオーバーテイクしトップに浮上。翌10周目にはハウガー、アントネッリ、マローニらスーパーソフトスタートの上位勢が一斉にピット入りする。しかし、タイヤを履き替えたハウガーがアウトラップのターン6〜7でクラッシュし、これで2度目のVSC導入となる。

2024年FIA F2第3戦メルボルン アイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)

 これで各車スロー走行となったが、11周目のVSC導入直前にピットに滑り込んだアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)がタイヤ交換組首位、さらに宮田がタイヤ交換組4番手と、表彰台を狙える位置まで大きくジャンプアップを果たす。逆に、ミディアムスタートからステイを選択したマイニら6台が割を食う結果に。

 2度目のVSCはセーフティカー(SC)に切り替えられ、その時点でのタイヤ交換組のオーダーはハジャル、アントネッリ、ポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)、宮田、ラファエル・ヴィラゴメス(ファン・アメルスフォールト・レーシング)、マローニというトップ6となった。

 レースは後半に差し掛かった16周目に再開。タイヤ交換義務未消化のマイニがレースをリードするが、ミディアム勢もタイヤが徐々に厳しくなり、5番手につけるエンツォ・フィッティパルディ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)を先頭に中段は数珠繋ぎとなる。

 17周目、ターン1でマローニが宮田に仕掛けた。ここは宮田が抑えるが、続くターン3でマローニが先行し、宮田はタイヤ交換組5番手にポジションを下げる。一方、タイヤ交換組トップのハジャルは未交換組を続々とオーバーテイクし、20周目には全体4番手に浮上する。

 マローニは好ペースを刻み続け、27周目にアントネッリを攻略し、タイヤ交換組3番手に浮上する。以降、上位勢はこう着状態が続いたが、レース最終盤となった31周目を迎えるとタイヤ未交換組トップのマイニがピットイン。これでハジャルがラップリーダーとなる。

 33周目を終え、ハジャルがトップチェッカーを受け、前日ペナルティで失った今季初優勝、そしてFIA F2通算2勝目を飾った。2位にアーロン、3位にポイントリーダーのマローニ、4位にフロントロウスタートのアントネッリが続いた。なお、ファステストラップポイントはアーロンが獲得している。

 宮田はスプリントレースに続く5位に入り、メルボルン大会は連続入賞。事前に目標としていたトップ5入りを両レースで果たすことが叶った。

 2024年FIA F2、次戦となる第4戦イモラは5月17〜19日にイタリアのイモラ・サーキットで開催される。ヨーロッパラウンドでも引き続き、宮田の走りに期待したい。

2024年FIA F2第3戦メルボルン 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)
2024年FIA F2第3戦メルボルン アイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)
2024年FIA F2第3戦メルボルン フィーチャーレース暫定表彰式

■2024年FIA F2第3戦メルボルン フィーチャーレース暫定結果

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 20 I.ハジャル カンポス・レーシング 56’42.116

2 17 P.アーロン ハイテック・パルスエイト 4.454

3 5 Z.マローニ ロダン・モータースポーツ 9.649

4 4 A.アントネッリ プレマ・レーシング 12.990

5 6 宮田莉朋 ロダン・モータースポーツ 13.652

6 22 R.フェルシュフォー トライデント 18.059

7 12 F.コラピント MPモータースポーツ 19.741

8 15 R.ヴィラゴメス ファン・アメルスフォールト・レーシング 23.600

9 1 V.マルタンス ARTグランプリ 25.080

10 3 O.ベアマン プレマ・レーシング 29.442

11 7 J.クロフォード ダムス・ルーカスオイル 31.199

12 16 A.コルデール ハイテック・パルスエイト 33.841

13 9 K.マイニ インビクタ・レーシング 34.041

14 21 J.マルティ カンポス・レーシング 34.594

15 8 J.コレア ダムス・ルーカスオイル 41.772

16 23 R.スタネ トライデント 58.194

17 25 T.バーナード PHM AIXレーシング 59.319

18 14 E.フィッティパルディ ファン・アメルスフォールト・レーシング 1’09.169

– 11 D.ハウガー MPモータースポーツ DNF

– 10 G.ボルトレート インビクタ・レーシング DNF

– 24 J.デュルクセン PHM AIXレーシング DNF

– 2 Z.オサリバン ARTグランプリ DNF

・ファステストラップ(総合)
#7 ジャック・クロフォード(ダムス・ルーカスオイル/アストンマーティン育成):1分30秒961 (33/33) 208.889km/h

・ファステストラップ(ポイント対象)
#17 ポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト):1分30秒977(33/33) 208.852km/h

・ペナルティ
#2 ザク・オサリバン(ARTグランプリ/ウイリアムズ育成):10秒タイムペナルティ/レース中のスチュワードの裁定により(接触要因)
#21 ジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成):10秒タイムペナルティ/レース中のスチュワードの裁定により(接触要因)

投稿 レッドブル育成ハジャルが好機と勝利を掴む。宮田莉朋は自己最高更新の連続入賞/FIA F2第3戦レース2autosport web に最初に表示されました。

© 株式会社三栄