こんなところに! 引き出しを片付けていて「年末調整」に使う書類が出てきました。何ヶ月も過ぎたのでもうお金は返ってこないのでしょうか?

納め過ぎた所得税は還付申告によって返ってくる

納め過ぎてしまった所得税の還付を受けるための手続きとして、還付申告があります。本来、会社員などの給与所得者は、年末調整によって所得税額を精算するため、確定申告や還付申告をする必要はありません。

しかし、年末調整で精算していないものがある場合は、追加で所得税を納める必要があるときは確定申告を、所得税を還付してもらう必要があるときは還付申告をすることによって、所得税の精算を行います。「年末調整に使う書類が出てきた」という場合なら、所得税を納め過ぎていることになりますので、還付申告をすることによって所得税の還付を受けることができます。

還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間、提出することができます。例えば、令和5年分の所得税の還付を受けるのであれば、令和10年12月31日まで還付申告を提出することができます。

還付申告はインターネットからでもできる

還付申告の手続きは、還付申告の期限内(その年の翌年1月1日から5年間)に、確定申告書(還付申告書)を所轄税務署に提出して行います。ただし、還付申告を行う場合であっても、他の特例を受けるなど法定申告期限内に確定申告書を提出する必要がある場合は、その法定申告期限内に還付申告も行う必要があります。

還付申告書を提出する際は、本人確認書類と申告内容に応じた書類の添付または提示が必要となります。

本人確認書類とは、マイナンバーカードを持っている方の場合はマイナンバーカード(個人番号カード)、マイナンバーカードを持っていない方の場合は番号確認書類と身元確認書類のことです。

番号確認書類とは、本人のマイナンバーを確認できる書類のことで、通知カードや住民票の写し(マイナンバーの記載があるもの)などが該当します。身元確認書類とは、記載したマイナンバーの持ち主であることを確認できる書類のことで、運転免許証、公的医療保険の被保険者証やパスポートなどが該当します。

内容に応じた書類とは、例えば以下のようなものです。なお、年末調整で既に控除を受けているものについては、添付や提示をする必要はありません。

__・社会保険料控除を受けるとき:「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」など
・小規模企業共済等掛金控除を受けるとき:支払った掛金額の証明書
・生命保険料控除を受けるとき:支払額などの証明書
・地震保険料控除を受けるとき:支払額などの証明書__

また、確定申告書(還付申告書)の作成・提出は、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」からでもできます。画面の案内に沿って(源泉徴収票を見ながら)金額を入力していくだけで作成・提出することができ、必要な付表や明細書も自動的に作成されますので、こちらをご利用されても良いと思います。

まとめ

本記事では、還付申告について解説をしました。年末調整後であっても、ご本人が還付申告を行うことによって、納め過ぎた所得税の還付を受けることができます。

還付申告の期限は、その年の翌年の1月1日から5年間です。年末調整後、何ヶ月も過ぎてしまったとしても、諦めずに還付申告をしてみましょう。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、自宅などでも申告書の作成・提出ができます。

引き出しから年末調整で使う書類が出てきてしまったという方は、本記事を参考に、還付申告をしてみてはいかがでしょうか。

出典

国税庁 「No.2030 還付申告」
国税庁 「給与所得者(従業員)の方へ(令和5年分)」
国税庁 「確定申告書等作成コーナー」
国税庁 「年末調整済みの源泉徴収票に記載の所得控除を修正する場合の入力」

執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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