向かい風で飛ばず、追い風でも飛ばず 西郷真央は暴風に負けない

西郷真央がムービングデーに順位を上げた(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国女子◇ファーヒルズ朴セリ選手権 3日目(23日)◇パロスバーデスGC (カリフォルニア州)◇6447yd(パー71)

後半15番、残り115ydの距離で西郷真央は9Iを握った。「普段だったらキャリーでグリーンの奥まで行ってしまうクラブ」。太平洋からの強烈な向かい風にぶつけた第2打は、ピン右4mにピタリ。バーディパットを外して悔しがったが、3日間で一番の暴風に負けないたくましさを見せつけた。

クラブチョイスがもうたいへん(撮影/田辺安啓(JJ))

4アンダー9位からのラウンドは序盤から耐えしのぐ展開を強いられた。5番(パー5)でバーディを先行させた直後、6番(パー3)でダブルボギーを喫してしまう。強すぎる追い風は、空に上がり切る前の球を叩き落とす。119yd先のピンに向け、普段は110yd設定のクラブで放った第1打が手前のバンカーで“目玉”になり、2打目で別のバンカーに入れた。

「次のロング(7番パー5)でバーディを取り返せたのが良かった」とバウンスバックで平静を取り戻すと、後半12番で下りの6mのスライスラインを流し込み2つ目のバーディ。17番(パー3)で手前から4mを沈め、4バーディ、1ダブルボギー「69」と2つスコアを伸ばしてみせた。

17番で4つ目のバーディ(撮影/田辺安啓(JJ))

首位に3打差の通算6アンダー7位で最終日を迎える。ルーキーとして戦う米ツアーは今季3試合目。米国本土では1月「ドライブオン選手権」(32位)以来の2戦目で、さっそくタイトルに近い位置でプレーできる。

この日一緒に回った2022年「AIG女子オープン」(全英女子)覇者のアシュリー・ブハイ(南アフリカ)の小技のうまさに感嘆しながら、堂々とラウンド。「やっぱり去年、こっちでたくさん試合に出させてもらったりした経験が今に繋がっている」とメジャー5大会をはじめ、積極的に海外に出た当時の姿勢が生きている。

初優勝に挑戦(撮影/田辺安啓(JJ))

最終日はさらに強い風が吹く予報が出ている。「もちろん優勝を目指して頑張りたいですけど、一打、一打に集中した結果、こういう良いスコアで回れたらいいなと思います」と最後まで忍耐強く戦い抜く。(カリフォルニア州パロスバーデス・エステーツ/桂川洋一)

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