職場で週2日のテレワークが導入される見込みですが電気代が増えそうで不安です。テレワークをするほど損をすることになるのでしょうか?

テレワーク導入は労働基準法の適用対象

テレワークとは、インターネットなどの活用により、会社以外の場所で仕事をするという新しい働き方のことです。よく知られているのが「在宅勤務」で、感染症の流行対策としても注目を浴びています。

ただ、在宅勤務に切り替えることで、これまでかからなかった費用が発生することが考えられます。そのため、テレワークを手放しで喜べない人もいるでしょう。

実際、「テレワーク総合ポータルサイト」(厚生労働省、総務省)にも、通信費用や水道光熱費などの負担に関する質問が寄せられています。こちらの回答をまとめると、労使間で話し合いを行ったうえで、明確なルールづくりなどが必要ということです。

しかも、就業規則の作成や届け出が義務づけられている企業(常時10人以上の労働者を使用)の場合、該当箇所を変更したうえで、所轄の労働基準監督署長へ届けなければなりません。

こちらは「労働基準法第89条第1項第5号」の「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合」に当たるので知っておきましょう。もちろん、就業規則の作成義務がない企業でも、労働条件の変更を書面でまとめることが望まれます。

電気代の負担はどうなる?

こちらに関しても、前述した「テレワーク総合ポータルサイト」の内容をもとにお話ししていきます。テレワークに必要な費用を決める際、労働者側の過度な負担を避けなければなりません。もちろん、費用の負担割合は各企業で異なります。

しかし、費用項目によっては企業側が全額負担するケースも少なくないのです。パソコン本体など情報通信機器は典型的な事例です。それにともない、通信回線費用を負担する企業もみられます。

ただ、通信回線費用はプライベート利用との区別がつかないので、一定額のみを企業負担とするケースもあります。電気代を含む水道光熱費の場合も同じような考え方です。こちらは、テレワーク勤務手当に含めることがあるため、テレワーク業務に入る前に確認しておきましょう。

テレワークには電気代以上のメリットが

在宅勤務をすることで、電気代だけでなく水道代やトイレットペーパーの購入代金など、さまざまな費用がかかります。一方、通勤にともなうストレスがなくなる、外食費がかからないなど、さまざまなメリットがあります。

質問者の場合、週2回のテレワークが見込まれるため、月20日勤務(週5日×4)のうち8日(週2日×4)は自宅で仕事ができる計算です。もし、ランチ代に1回500円を使うのであれば4000円(500円×8日分)の節約にもなります。

また、新しい衣服を買わなくてもよいなどの利点もあります。さらに、時間的余裕ができるので、家事や育児と両立しやすくなる人もいるでしょう。電気代が増えるのが不安かもしれませんが、それ以上にメリットが多いのです。

電気代などの費用だけに着目するのではなくテレワーク全体のメリットを把握しよう

テレワークの普及にともない、電気代がかさむことに目がいってしまう人もいるでしょう。自宅にいなければかからない費用なので無理もないことです。

しかし、テレワークを導入する際には労使間での取り決めが不可欠であり、労働者側が不利にならないことが望まれています。また、通勤によるストレス軽減や外食費などの節約など、テレワークにはさまざまなメリットがあることを把握しておきましょう。

出典

厚生労働省 総務省 テレワーク総合ポータルサイト テレワークとは
厚生労働省 総務省 テレワーク総合ポータルサイト Q&A Qテレワーク実施の際に要した通信費用・水道光熱費などの費用は会社が負担すべきでしょうか。
厚生労働省 しっかり学ぼう! 働くときの基礎知識
e-GOV法令検索 第八十九条第一項第五号 労働基準法

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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