俳優・寺田農さん死去 青森県田子町から悼む声 映画祭で来町、ふるさと大使

田子町で行われた相米慎二監督映画祭りのトークショーで思い出を語る寺田さん=2022年8月20日

 14日に81歳で亡くなった俳優寺田農さんは、青森県田子町にゆかりのある映画監督・故相米慎二さんの作品にも数多く出演し、同町で開催される「相米慎二監督映画祭り」にゲストでたびたび参加していた。同町をPRする「ふるさと大使」にもなっており、23日、関係者が名優の死を悼んだ。

 相米監督は父が田子町出身。寺田さんは同監督がメガホンを取った「セーラー服と機関銃」などに出演、映画祭りではエピソードを語った。岩手県での撮影の合間に町を訪れたこともあり、来町の際には必ず同監督の慰霊碑に手を合わせたという。亡くなった原因はくしくも、同監督と同じ肺がんだった。

 「映画監督相米慎二を語りつぐ会」代表の山本晴美田子町長は「大物俳優だが、気さくに町民に話しかけてくれた。映画祭りの初回から協力していただいた良き理解者」と振り返った。2月に東京の八戸都市圏交流プラザ「エイトベース」でのイベントに寺田さんも参加予定だったが、体調不良でキャンセルになったという。山本町長は「また元気な顔を見せてくれると思っていたのでとても残念」と話した。

 寺田さんは、田子町をPRしたいと京都市の撮影所に「たっこにんにく」と田子牛を取り寄せたこともあり昨年、同町ふるさと大使に任命された。

 相米監督と同様にヘビースモーカーだった。同監督の兄で町在住の相米琢磨さん(90)は「今ごろ慎二と再会し、たばこでも吸っているのでは」とし「(相米監督作品に出演したものの)出番が全てカットされていた話で大笑いしたこともあった。演技を褒めるととても喜んでくれた。いい役者だった」としのんだ。

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