40年の歴史「きもの大園遊会」不開催へ 滋賀県長浜市が予算計上見送り、関係者に波紋

長浜市が関連予算を計上せず、今秋は開催見送りとなる公算が大きい「長浜きもの大園遊会」(昨年10月14日、長浜市元浜町・大通寺)

 滋賀県長浜市の2024年度当初予算案で、40年近い歴史がある秋のイベント「長浜きもの大園遊会」の開催関連費計上が見送られた。5月ごろに予定される主催側の会合で今秋の不開催が正式決定する運び。マンネリ化や参加者の減少が背景にあり、市は「今年はいったん休み、魅力あるイベントを来年以降開ければ」とする。

 同園遊会のほか「長浜きもののつどい」と「長浜きもの早春のつどい」の24年度分も開催見送りとなる方向。予算案で市は、これらの3イベントを束ねる「長浜出世まつり実行委員会」への補助を前年度比約560万円減の約720万円とし、3イベントは「ゼロ計上」とした。

 市はゼロとした理由として「回数を重ねてマンネリ化した面が否めない」(文化観光課)と説明する。同園遊会の場合、ピークの1993年には約1600人の参加があったが、昨年は募集千人に対し約270人にとどまるなど、参加人数が伸び悩んでいることも挙げる。

 同課は「24年度は休んで再構築し、時代に合ったイベントにしていく」と話す。

 一方、今回の計上見送りは波紋を呼んだ。市は予算編成にあたって計上の取捨選択を担当部局に委ねる仕組みを導入したこともあってか、庁内や関係者との情報共有が十分に図られなかった。予算案発表直前に計上見送りを知った関係者は市側に不快感を示す。

 出世まつり実行委会長を務める長浜商工会議所の大塚敬一郎会頭は、2月13日の商議所市政懇談会席上で「(計上見送りは)手順を踏んでいない」と浅見宣義市長に苦言を呈した。浅見市長は「意思疎通に齟齬(そご)があった」と陳謝した。

 長浜では、まちづくりや観光振興を「町衆」が担ってきた経緯がある。市は彦根、米原両市と地元ゆかりの戦国武将石田三成を主人公にした大河ドラマ実現をNHKに要望しているが、「仮に大河が実現しても関連イベントは市だけで勝手にやったらいい」と突き放す市中心部の経済関係者もいる。

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